矢吹

リアリズムの宿の矢吹のレビュー・感想・評価

リアリズムの宿(2003年製作の映画)
4.1
タイトルが強すぎる。これの効果が半端じゃない。最高。
三つの宿を訪れる、顔見知りの2人組。
どちらも取っ掛かりのない映画人。予備軍?
静と少しの動によるリアリズムの旅。
リアリズムってか、どこかリアルな。ってか。
微動だにしないロングテイクとトラッキングのショット。景色や視点の切り返しが最低限で最高点。広がるたびに窮屈な世界。
2人の空気もめちゃくちゃ良い。
距離の近づき方とか離れ方とか。
音楽の薄味な匙加減も、元々が素だからか、ちょっとの変化がすごい効果的って感じです。

尾野真千子さんも素敵だった。終盤もめちゃくちゃいい展開で終わり方も美しい。
まじリアリズム。

三つ目の宿の主となる家族、四つ目でもいいのかな。良いよね。
お風呂でのクロースアップの挿入もきまりまくってるし、汚え家でありつつ、そこに生活があって、男の子は夜な夜な真剣に宿題でもしてるかと思いきやも笑える。
そんな現実的な笑いもいくつかある。

そんな映画の空気を作る舞台も最高。
ゲームセンターに見える時代性なんかも、いつか何もかもがここを通ってあそこに行くんだなと思えば、今の世の中で見落としてることはいっぱいあるなと思うし、
そんな、いろんな要素から現実の生活に帰ってこれる映画。やったぜ。
矢吹

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