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オテサーネク 妄想の子供のTSのレビュー・感想・評価

オテサーネク 妄想の子供(2000年製作の映画)
3.8
【チェコの民話に出てくる「食人木」】80点
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監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
製作国:チェコ/イギリス
ジャンル:ホラー
収録時間:132分
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 前から見たいと思ってましたが、ついにU-NEXTで配信されていたので鑑賞。さすが、ヤン・シュヴァンクマイエルの世界観爆裂の良い意味で気持ちの悪い作品でした笑 ダークファンタジーと言うけれども、もうほぼホラーですよこれは。オテサーネクとはチェコの民話に出てくる「食人木」を指すようで、不妊に悩まされていた夫婦が、ある日切り株を人の形に切り取り、妻がそれを溺愛し育てていくというもの。不妊というのはだいぶシビアな話なので、そこにツッコミはいれませんが、その後の行動は最早ツッコミだらけ。子どもが欲しいという気持ちもわかりますが、あそこまでいくと最早ドン引きの領域。その人の形をした木がそのままであれば、やばい夫婦で終わるのに、この監督ときたらそれを嘲笑うかのように自分の世界観にもっていってしまいます。

 なんと、この切り株に魂が宿り、それが動きはじめるのです。その動きがこの監督お得意のストップモーションアニメ。これぞ彼の真骨頂と言えましょう。容姿に似合わない可愛らしい赤ん坊の泣き声や笑い声がまた不気味極まりない。最初こそ哺乳瓶でミルクを飲んでいますが、食欲旺盛でありついに生き物にまで手を加えていきます。まず、動いた時点で恐れ慄き、切り刻むなり焼くなりして処分するのが普通なのに、この夫婦ときたら慌てるものの、愛情がそれを邪魔して守ろうとします。いや、夫はまだまともなのですが妻がもう救いようのない程。ここまできたらもうこの食人木を応援したくなってしまう。こんなものを野放しにしていたらどうなるかわからんわけではあるまい。そして、この一連の流れを覗く少女、アルジュビェトカが一番まともなのかと思いきやそんなこともなく、出てくる人大体ちょっとやばい人ばかりでしたね。まあヤン・シュヴァンクマイエルの作品だからそれに関しては驚きはしませんが笑

 チェコの民話って怖いんですね笑 そしてそれを平気で着色して映画として世に送り出してくるヤン・シュヴァンクマイエルはもっと怖い笑 グロいシーンが多くて不気味というよりかは、とにかく作風が不気味。中身は全く違うけれど『ルナシー』や『悦楽共犯者』と同じ系統の映画です。人を選ぶ作品だと思いますが、こういう作品の方が妙に印象に残るため、単体としての価値は高いかなと思います。とにかく、不気味で気持ち悪いのでそういうのが好きな方は是非笑
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