千年女優

ラブリーボーンの千年女優のレビュー・感想・評価

ラブリーボーン(2009年製作の映画)
3.0
仲睦まじいサーモン家の三人姉弟の長女で、意中の男の子からのデートの誘いに舞い上がる、写真家志望の女子高生スージー。幸せな人生を無情にも連続殺人鬼の手で奪われてしまった彼女が、死後の美しい世界に誘われるも自分の死後に崩壊の危機に瀕する家族の状況を案じて、天国からその行方を見守る様を描いたファンタジードラマです。

大学在学中に受けた強姦被害と裁判の回顧録『ラッキー』(後に犯人の冤罪が証明されて発売中止)で注目されたアリス・シーボルトのベストセラー小説を『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソンが映画化した作品で、作品自体は賛否両論が出たもののシアーシャ・ローナンの演技が評価されて1億ドル超の興行収入を記録しました。

空想世界描写に惹かれて監督を務めたピーター・ジャクソンは流石の映像で死後の幻想的な世界を演出していて、もちろん残虐な殺人犯描写も犯人宅への潜入サスペンスも抜かりはありませんが、個々のシーンは良くても作品全体としての統一感に欠けており、観客の困惑をオスカー常連の片鱗を見せるローナンの存在感で繋ぎ止める一作です。
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