るる

ラブリーボーンのるるのネタバレレビュー・内容・結末

ラブリーボーン(2009年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

地下室のシーンの気持ち悪さ、
浴室の、あの、イメージの、気色悪さ、

本当に勘弁してほしい、子供の頃に見ていたら単なるホラー描写に見えたのかもしれない、
いま色々と知識を持って観ると、小児性愛者、ロリコン野郎に対する生理的嫌悪が刺激されて、きっつい、

犯人が写真を見る、視線の移動、身体を見る、服の隙間から見える肌を辿るようにしてカメラが動く、その過程で手首にはめられたブレスレットに目を止める、あの感じも気持ち悪い、

犯人がドールハウスのドアを開けるのに合わせて、
被害者家族の母であり妻が部屋の扉を開けて、夫に娘の死を告げる、

気持ち悪い! 悪趣味…!

幽霊になった彼女が夢見る世界のイメージが美しすぎるからこそ、
犯人パートのおどろおどろしさに怖気が。対比にはなってない気がして、気色悪さを引きずったまま観せられる美しい風景に感情が混乱する。

ちょっとなあ…犯人を告発するのが目的の演出ならともかく…可愛い女の子が好きな多くの観客への、不必要な目配せに見えて、悪趣味に感じた。

途中で、そうか、これは数多あるホラー映画の、その変形なのね、惨殺された美少女…彼女が怨霊にならないための…連続猟奇殺人犯の被害者の女の子たちへの追悼…と思ってたら、

えええええ着地点そこなの…

なんだろうなあ、レイプは魂の殺人で、被害者はサバイバーと呼ばれ、彼女らは生き地獄を味わいながら犯人を呪いながら被害に遭った過去の記憶に苛まれながら自身を責めながら生きている、その暗喩なのかな、と感じる描写があって、ああホラーを装ったドラマ映画だ、と思って、

でも、貴女はそんなものを見なくていいのよ、犯人の動向を気にしながら生と死の狭間に囚われて生きなくていいのよ、と本当に辛い気持ちになってしまって、

だからこそ、家族パートの描写の、お粗末さにげんなり…破天荒なおばあちゃんの登場で子供達には明るさが戻った、ってシーンの意図はわかったけど、唐突すぎて音楽が明るすぎて気持ちがついていかなくて不快だったし、なにより妻のためにと言いながら、あんな母親を呼ぶ夫にドン引きしてしまって、あのおばあちゃんをちっとも愛せなかったし、お父さんなんなんだ、あの無能っぷり…

ファンタジー演出はスージーのパートに絞って、家族パートはもっときっちり、ミステリーとして、地に足ついた描写で処理して欲しかったな…写真…気付くの遅い…でも怪しいと気付くのは第六感なのかよ…しかも事件解決には全く結びつかないのかよ…そんな脚本あるかよ…

殴られて瀕死状態のお父さん、生と死の狭間に足を踏み入れてスージーに会うのかと思いきや、会わないのかよ!? 肩透かしやめてほしい…なんだその脚本…死の虚無を突き付けすぎだろ…

妹への嫉妬を滲ませたスージー、しかし、今度は妹に危機が迫っている、なんとかして妹を守ろうと…するわけじゃないんだ…? マジかよ…

妹はね、頑張ったよね、ノートをめくるシーン、はらはらしすぎて、もう…

だから、やっとの思いで家に逃げ帰ったのに、両親の再会劇を目の当たりにして口を噤んでしまう姿に、勘弁してくれ!と。おばあちゃんがちゃんと、服が汚れてることに気付いて心配してくれる人で良かった、あの母親も父親もダメすぎるだろ、娘にもっと関心を持って…!

犯人逃してしまうのかよ!?
あの金庫!!

キスして満足で…いいの!?よくない!!!
埋め立てられてしまう金庫…嘘だろ!!!
霊感少女、お前も本当にその男でいいのか??

つらすぎた…そして事件は葬り去られ…

氷柱って。犯人にはちゃんと因果応報、

いやいやいや…数多ある痛ましい未解決事件の追悼…と思いたくても思えないよ、あんなの…

お母さんが部屋に来てくれたことで天国へ旅立つことができた、言わんとすることはわかるよ、彼女たちと手に手を取って美しい天国へ、

でも、そこに、カタルシスは感じられなかった、ただただ悲しかった、なんだよもう…!!!

弟がフェードアウトしてるあたりも気になる…

なんだろうな、詰め込みすぎ?
ファンタジーだけじゃなく、ホラーもミステリもサスペンスもホームドラマも撮れるよ、ってアピールしようとして失敗してる、誠実につくるべき題材に対して、とてつもなく雑な行いをしてる映画に感じて…

原作は読んでみたいと思ったけど…うーん…ファンタジーパートが良かっただけに…あんなふうに甘やかには扱って欲しくない題材だったな…
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