のら

ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌ののらのレビュー・感想・評価

2.5
ゲゲゲの鬼太郎の実写版二作目。今作の敵にあたる濡れ女は、人間によって非業の死を遂げ怨念となったという設定で、前作で人間を守る側に回った鬼太郎に人間を守る為に戦うのかという葛藤を抱かせる構造になっている。

しかし如何せん1000年も前の出来事を現代に適用して、人間は守る価値があるのかと言われても鬼太郎も困ってしまう。しかもその濡れ女に呪いを掛けられたヒロインである北乃きいに至っては、人間が撒いた種なのにと濡れ女の封印を邪魔すると思いきや、今度は鬼太郎にこのままでは人間が滅んでしまうと泣きつくなど日和見主義も甚だしい。封印の鍵になるといった特別な存在でもなくただ呪いを掛けられただけなため、居てもいなくても話には影響しない存在になっている。

また屋外シーンの殆どがクロマキー合成なので緊張感もなく、登場人物が別撮りで合成されているシーンまである。夜叉役のソ・ジソブや、蛇骨婆役の佐野史郎など、いい演技をしているとは思うが、このシリーズの問題点はストーリーや特殊メイクで無理やり実写化する事よりも、妖怪達の住む世界をちゃんと描けていない点につきる。

妖怪図書館など妖怪達が住む世界を感じさせるものが出てくるには出てくるのだが、世界観に広がりを感じないのだ。そのせいで妖怪たちが実在していると思えない。それがこの映画を不出来な物にしてしまっている。
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