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モービウスののらのレビュー・感想・評価

モービウス(2022年製作の映画)
2.5
スパイダーマンに出てくる敵であるモービウスの誕生を描く映画で MCU 的にも実写化としても初登場になる。

話としては子供の頃から血液の難病を抱えていたモービウスは大人になり医者として人工血液の開発する傍ら、自らの病気を直そうとコウモリの遺伝子を取り込んだ血清を自身に投与した結果特殊能力に目覚める。

生い立ちが若干ドクター・ストレンジに似ているが、モービウスは特殊能力と引き換えに他人の血液を飲まないと生きていけないため、本能的に人を襲うようになった、いわゆる吸血鬼のキャラクターになっている。実際に本作もモービウスを吸血鬼として捉えて全体的に不気味なホラー調の演出で描いている。

この演出自体は悪くないし、特に前半パートの主人公に何が起きているのかわからない時は、非常に良く機能している。しかし問題は中盤以降でモービウスの幼馴染で同様の難病を抱えたルシアンが、モービウスと同様の能力を得たあたりから破綻し始める。

というのもモービスはヴェノムのようにアンチヒーロー的な破茶滅茶なキャラクターではないので、ダークヒーロー的な描写になってしまう。しかも吸血鬼なので夜間しか行動できないため、暗い空間の中でわちゃわちゃバトルをされても動きが見ずらいし、倒せる条件が吸血鬼のそれなのだけど、作中ではあくまで吸血鬼ぽいなにかなので、一派的な吸血鬼と同じルールが適用されるのかが謎なので、バトルにおける勝ち負けのルールが良くわからない。

また敵の設定にも問題があって、2作続いて自分と同じ能力を持った敵、闇堕ちした自分自身と戦うという展開になってるので新鮮味がない。

前半のホラーテイストなビジュアルや演出はすごく良いのだが、後半のバトルパートの出来が悪いのと、オープニングのシーンの回収がされてないなど 、全体的に締め切りに間に合わせるために、強引にまとめ上げたような印象をうける。
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