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ムーンフォールののらのレビュー・感想・評価

ムーンフォール(2021年製作の映画)
2.5
ローランド・エメリッヒによるディザスター・ムービー。

タイトルからも分かるように突然起動を外れた月によって地球で天変地異が置き、最終的に月が地球に落ちてくるという内容の映画。要するにアルマゲドンの隕石が月に変わっただけで、主人公達は衝突回避の為に月に乗り込む。

主人公たちが月に行ってしまうため、地球のディザスター描写は主人公たちの子どもが軍のシェルターに辿り着けるのか?という部分がメインになる。しかし当然軍のシェルターは人里離れた場所にあるため、地球の終わりが近づけば近づくほど迫力のあるディザスター描写がなりを潜めてしまう。

また地球サイドの話を家族愛に振るのは良いとしても、そのための仕込みを前半に入れているために単調になっている。この部分を端折れば2時間切れたのではないだろうか?

しかし本作の最大の驚きは月に向かった主人公たちのパートで、月の正体が人工的に作られた巨大構造物だった事が暴かれ、最終的には主人公たちは月と地球の衝突を回避するため月の立坑から月の中心部へと向かう(実際に月には立坑があり空洞も存在している)というアルマゲドンもびっくりの衝撃の展開に発展していく。

この映画で一番感じるのはローランド・エメリッヒが一番輝くのは SF 映画だという部分で、今でこそディザスター描写といえばこの人という扱いだが、元々はユニバーサル・ソルジャーやスターゲイトと言った SF 映画で注目された人だったわけで、SF との相性の良さが出ていて、ディザスター描写よりも SF サイドの描写をもっと増やしたほうが良かったのでは?という気がする。

悪くはないのだけど、まず内容の割に上映時間が長い。ディザスター映画の割に都市破壊描写が薄い。だけど映像そのものや SF 描写は悪くないという感じなので、テレビ用に短縮されたバージョンを空いた時間に見る分には十分楽しめるのだけど。ただこの映画は制作費に 1億5000万ドルもかかっていて、同じ規模の映画を考えるともっとなんとかなったのでは?と思うし、それが映画館で上映されないの!?という複雑な気持ちになる。
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