のら

ブレット・トレインののらのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
3.0
伊坂幸太郎のマリアビートルの映画化で、監督はアトミック・ブロンドやデッドプール2のデヴィッド・リーチ。基本的にはデッドプール2のスタッフで作られている。

話としてはブラッド・ピット演じる殺し屋が東京発京都行きの新幹線にあるブリーフケースを回収するというだけの話なのが、何故かその列車に次々と殺し屋が乗り込んできてバトルロワイヤル状態になるというアクション・コメディ。

ただブリーフケースを回収するためだけに電車に乗った主人公が、新幹線という脱出不可能な空間で次々と災難に襲われるのは、オチに当たる何で命を狙われたのかの理由を含めて、ダイ・ハードを連想させる。

一方でクセの強いビジュアルをスタイリッシュなアクションで中和するのが特徴のデヴィッド・リーチのスタイルは継続しているが、舞台が日本のまま外国人が演じているせいで、クセの強さが勝ってしまい見やすい映画ではない。

とくに新幹線に乗り込んだ殺し屋が何故新幹線に乗る必要があったのかを説明する必要があるので、それぞれ回想がカットインされて見づらいし、新幹線を始めとする日本の描写が、端からリアリティを追求する気がないというのか、映画とかでよくあるトンデモ日本の方にわざと寄せてきているので、アクの強さが作品の持ち味というより見づらさに繋がってしまっている。

それでも出てくるキャラクター達はみんな魅力的でマイケル・シャノン演じるホワイト・デスのロシアン・ルーレットはカッコいいし、タンジェリンとレモンのデコボココンビは人を殺しまくりなんだけど憎めない。ジョーイ・キングが演じるプリンスもアメコミの女性ヴィランぽくていい。

万人受けするタイプの映画ではないが、キャラクターやアクションは魅力的だし、題材的にもこれ以上いじっても良さが削れていく気しかしないが、変な映画であることには変わりない。
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