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現金に手を出すなのHKのレビュー・感想・評価

現金に手を出すな(1954年製作の映画)
4.0
ジャン・ギャバン主役のフィルム・ノワールのメジャー・タイトル。
リノ・ヴァンチュラのデビュー作だったらしいので、昔観た気がするけど再確認・・・と思って観たら全く記憶にありませんでした。観てないんでしょう。(観てるのにこんなにキレイに忘れているとは思いたくない)

ヴァンチュラは映画初出演でクレジットもその他大勢の一番下なのでどんなチョイ役かと思ったら、なんと冒頭から最後までギャバンの敵役を堂々と演じていてデビュー作とは思えぬ存在感。
ギャングの大物ギャバンの座を狙う若手新興勢力といった役どころで、演技を見たギャバンに役者を続けるよう言われたという話も頷けます。
ヴァンチュラは当時35歳。ギャバンの方は50歳ですが私がこれまで観たなかでは一番若いくらい。この小娘は誰だと思ったらなんと当時26歳のジャンヌ・モローでした。若すぎてわからない。

この映画には八頭身の絵に描いたような美人がゾロゾロ登場し、ある意味感覚がマヒしてしまいますが、その中でいい年のギャバンが女の子に邪険にしようがセクハラしようがモテまくり。
身なりのいい金持ちで貫録があり人が良くみんなの人気者だけど実はギャング、という役どころは誰でもできるものではありません。これで顔が二枚目すぎると逆に男から反感買います。
フィルム・ノワールでありハード・ボイルド、男の友情、メルビルやジョバンニあたりも影響を受けているでしょう。
97分と手頃なので2回観てしまい、それぞれのキャラや設定がわかってから観た2回目の方が楽しめました。
何度か流れる“グリスビーのブルース”も渋い。
モノクロなのにどの料理も酒も美味しそうなのが不思議です。
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