ひでやん

散り行く花のひでやんのレビュー・感想・評価

散り行く花(1919年製作の映画)
4.3
仏教を広めるためロンドンに渡るも夢破れた中国人と、父親からの凄絶な虐待を受ける少女との愛と悲しみの物語。

「映画の父」と呼ばれたデヴィッド・ウォーク・グリフィスによるサイレント映画で、美しくも悲しげなピアノが印象的。

DVDの本編の前に淀川さんの解説があって、淀川さん好きなんだけどね、ラストがどうなるかストーリー全部言っちゃうんだもん、参った。ネタバレだから本編のあとに入れてほしかった。

100年前の映画なんだけど、悲しすぎる結末だった。

ルーシーを演じたリリアン・ギッシュは可憐で、そっと触れると壊れてしまいそうな儚さを感じた。鞭に打たれ笑顔を失った少女が指で唇の両端を持ち上げて偽りの笑みを作るのが悲しい。

ルーシーが作る笑みは、ゴダールが「勝手にしやがれ」のラストで引用している。

美しく咲く白い花は父の暴力によってしおれてしまった。中国人は花に水をやるように優しく少女を看病する。

父に見つかり家に連れていかれたルーシーの怯える瞳が胸をしめつける。オノでドアを叩き壊す場面は「シャイニング」のような怖さだった。

散りゆく花…悲しすぎる。
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