めしいらず

ローラーとバイオリンのめしいらずのレビュー・感想・評価

ローラーとバイオリン(1960年製作の映画)
3.0
バイオリンを習う少年と道路舗装に従事する青年の友情。意地悪する者とされる者とに分かれた子ども同士の世界。平生から怖いと思っている大人の世界。叱られて項垂れる子らの後ろ姿。でも大人の中に交じるのは晴れがましいし、同等に扱われると嬉しい。意地悪な子も悔しそう。また同じ習い事の可愛い女の子をつい意識する初恋とも呼べぬ他愛ない心のざわめき。いじめっ子に立ち向かいやっつけられる悔しさ。青年に音楽を語りそして聴かせる堂々とした態度。青年と映画を観に行く約束は、労働者との関わりを懸念する母親に邪魔され果たせない。青年は明日去る。二人はもう会えない。この時の後ろ髪引かれる無念さを少年はきっと長く持ち続けるだろう。
タルコフスキー作品で唯一観ていなかった処女作(卒業制作)をようやっと鑑賞できた。子どもらしいピュアな感性が瑞々しい。すでに水が印象的に捉えられており、また鏡が見せる不思議と映像派らしい感性が其処此処に光る。
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