こたつむり

4匹の蝿のこたつむりのレビュー・感想・評価

4匹の蝿(1971年製作の映画)
3.4
♪ サヨナラ…魔性の人
  夢想の想い 悪夢の神秘 愛の幻想

これぞ土曜ワイド劇場の原点。
仮面の怪人に狙われる主人公。ネットリと流れる赤色。謎が謎を呼ぶ展開。いきなり挿し込まれるエロい場面。そして…さりげない“トンデモ”案件。

ネタバレになるんで深くまで言及しませんが…。
今から50年前以上には“トンデモ”案件も一般常識だった…わけではないと思いますが、それでも真剣な顔で「これが証拠だ」みたいなことを言われると…笑っちゃいます。

しかも、それがタイトルになっているわけで…。
これは完全にドヤ顔ですよね。「この謎は解けないだろう」的な感じですよね。勿論、解けるわけがないんですけども。うん。やっぱり笑っちゃいます。

でも、この軽妙さが良いのでしょう。
ダリオ・アルジェント監督の筆致は粘着質なんで、軽い部分がないと胃もたれするのは確実。土曜日の夜に楽しめるような娯楽にはなりません。

また、恐怖の煽り方も同じ話。
ガチで怖がらせる必要はないんです。ちょっとだけ“想像力”を刺激するだけで十分。闇の向こう側に何かがある…それを感じさせるだけで良いんです。

そして、その効果が最大限に発揮するのは現実。
しん…と静まり返った真夜中。トイレに行きたくても行けなくなる…そう思わせたら勝ち。特に風の音が強い夜なんかは最高ですよね。まるで悲鳴のように聴こえますから…。

まあ、そんなわけで。
日本における2時間サスペンスの方向性に多大な影響を与えた…と思われる作品。現代の視点で捉えるとかび臭いかもしれませんが「提供はオッペン化粧品」の言葉にピンとくる人にはオススメです。

さて。ここからは余談。
前にも書きましたけど、昔の土曜ワイド劇場の作品が観たいです。一番有名な『明智小五郎シリーズ』はDVD化されていますが、もっと地味なタイトルにも興味深い作品はあるんですよ。

ちなみに僕が観たいのは『北海道殺人旅行・わたしの婚約日記』。あの衝撃的なラストは幼き僕の心にトラウマを植え付けたのです…当分の間はカレーを食べることが出来ませんでした…。
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