ほーりー

きみに読む物語のほーりーのレビュー・感想・評価

きみに読む物語(2004年製作の映画)
3.7
ひとは誰もが老いる。そして楽しい記憶も悲しい記憶も時と共に遥か彼方へ消えていく……。

わたしの友達から聞いた話だが、彼女のおばあちゃんが認知症で、自分の夫がまだ生きてるにもかかわらず記憶の中では死んだ人になっていたそうな。

で、傑作なのが、そのおばあちゃんが「おじいちゃんが亡くなってから寂しくなったわ」と言ったあと、当のおじいちゃんがひょっこり現れると、そこで感動の再会シーンがはじまったという。

いささか話が脱線したので映画に話を戻す。

2000年代を代表する恋愛映画「きみに読む物語」。

認知症で自分が誰かもわからなくなった老女(ジーナ・ローランズ)。今は河辺の介護施設で暮らしていて、同じホームで生活している男性(ジェームズ・ガーナー)が毎日物語を読み聞かせていた。

そのお話は昔々、南部の町へ避暑に来た金持ちの娘(レイチェル・マクアダムズ)に一目惚れした貧しい青年(ライアン・ゴズリング)の恋物語。

最初は彼に見向きもしなかった彼女も段々と心惹かれていくが、彼女の両親が身分の違いを理由にそれを許さなかった。

やがて夏も過ぎ彼女は自宅に帰ってしまう。彼女のことを忘れられない彼は毎日手紙を書き続けるのだが……。

オープニングクレジットの夕陽で真っ赤に染まった河辺のシーンが美しくて最初から釘付けになってしまった。

主演のライアン・ゴズリングが若くて初々しい。ヒロインはレイチェル・マクアダムズで、この人は本作といい「アバウト・タイム」といい、よく雨でずぶ濡れになる人だなぁ。

監督はニック・カサヴェテス。あのインデペンデント映画の開祖ジョン・カサヴェテス監督の倅で、つまりは本作に出演したジーナ・ローランズは監督のお母さんなのである。
これほど最高の母への贈り物はないと思う。

個人的にはゴズリングとマクアダムズも好演なのだが、断然、ローランズとガーナーのパートが素晴らしかった。

ローランズが鎮静剤を射たれたときのなす術もなく悲しみを堪えるガーナーがとてもとても印象的だった。

■映画 DATA==========================
監督:ニック・カサヴェテス
脚本:ジャン・サルディ/ジェレミー・レヴェン
製作:マーク・ジョンソン/リン・ハリス
音楽:アーロン・ジグマン
撮影:ロバート・フラッセ
公開:2004年6月25日(米)/2005年2月5日(日)
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