モチーフの置換が面白い。軍使の白旗代わりに越中を掲げ、腹巻きの代わりに軍旗を巻く。営門をくぐってはじめて挨拶するのは慰安所で、投獄された彼らを解放するのは偽参謀。権威を生活に、軍規を虚構に代替してすべてを煙に巻くような物語のつくりになっている。
あと編集がとてつもなくうまい。まるで拍子を取るかのように「ズバリ」「責任を(持つ)」といった端的な台詞でカット、胴体振り向き様にもまたカット、敬礼の右手上げ動作に合わせてマッチカット、場面を上げだせばきりがない。他にも動作や構図の一致、ショットをまたいで台詞をつなぐといった技巧が凝らされ、すべてが有機的につながっている。(ブラックアウトもインポジションも使ってない)至福の107分だった。