カメラワークカルト映画。逆光仰視の怪しげなショットに時折鍵になるロングテイクが挿入されることで全体の編集意図がわかる奇妙奇天烈な映画。後に証拠捏造に使われる空箱、警部の「目を離すな」の言葉通りにつきまとう警部、賄賂代わりにメキシコマフィアが注ぐ酒。長回しをこれほど意識的に使った作品は珍しい。
誘拐時の魚眼や酒場の乱闘での急なトラックアウトなんかもバッチリきまってる。最後の上下運動する掘削機は天秤の表彰だろうか?
崩壊するギリギリのところでギリギリ留まっているから絶賛はできないけど、間違いなく傑作ではある。
あとジャネットリーが案の定モーテルで酷い目に合うんだけど、この映画はサイコの2年前。ヒッチコックが彼女を選んだ理由は間違いなく本作にあるし、もしかしたら撮影技術でも対抗しようとしていたのではないか。何だか妙なところで源泉を見つけてしまった。