こたつむり

溺れる魚のこたつむりのレビュー・感想・評価

溺れる魚(2000年製作の映画)
3.7
♪ 游ぐサカナ 游がないサカナ
  游げるサカナ 游げないサカナ

堤幸彦監督の集大成、されど中継地点。
そんな作品でした。少しクダけた言い方をするならば、堤幸彦流『大乱闘スマッシュブラザーズ』的な映画。つまりは豪華絢爛な配役が目立つ作品です。

特に『TRICK』と『池袋ウエストゲートパーク』からの参戦が多い印象。仲間由紀恵さん、野際陽子さん、窪塚洋介さん、渡辺謙さん…主題歌は鬼束ちひろさん。『ケイゾク』絡みの配役は無いんですね。残念です。

ただ、雰囲気は『ケイゾク』の延長線上。
基本的にサイコサスペンス(の端っこのほう)なので、どこかしら“青みがかった”世界観なんですよね。しかも、それを21世紀初頭の空気感にアップグレード。微細な違いですが、その変化が嬉しい限りでした。

だから、ふざけた演出も全開フルスロットル。
意味のないギャグや、迷走する物語、三池崇史監督を彷彿させる暴力表現など“やりたい放題”の極み。ファンならば大喜びだと思いますが、慣れていない人は…退屈の極みかもしれません。

だから、距離感が難しいです。
特に現代の価値観で捉えるのは危険な話。
鷹揚な姿勢が大切だと思います。喩えるならば、懐メロを楽しむような感じですかね(モーニング娘。の楽曲も活躍しますし)。LGBTに対しても侮蔑的な発言もありますが…20年経てば、色々と変わるのは当たり前なのです。

まあ、そんなわけで。
「内容が無いよう」的な物語をいかに愛でることが出来るか…そんな姿勢を試される作品。また、鑑賞しようにもレンタルや配信しているところが少ないようなので、ある意味でレアアイテム。勿論、レア=面白い、ではないので注意が必要です。

あ。
僕は割と好きな作品ですよ。
特にIZAMさんの怪演が楽しめる希少な機会ですからね。物語としては“無駄遣い”というか“意味がない”配置にされた感が強いのですが、その無意味な部分も含めて愉しむ作品だと思います。
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