カーペンターによるカルト的人気のSFアクション作品。
1997年(制作当時から見たら近未来)。
犯罪率が爆発的に増加し、丸ごと巨大な刑務所となったマンハッタン島に、大統領を乗せた飛行機が墜落する。
脱出するも、凶悪な犯罪者たちに囚われてしまう。
そこで元特殊部隊の囚人スネーク・プリスキン(カート・ラッセル)が大統領を救出するミッションを命ぜられる。
タイムリミットは24時間。
時間内に大統領を救出すれば無罪放免、救出が失敗したり脱走を試みれば体内に埋め込まれた爆弾が爆発する!
この笑えるほど強引な設定が逆にすき。
高い壁で囲って脱獄不能なマンハッタンは荒れ果てていてまるでディストピア。
ほぼ夜だけだから尚更この世界観に浸れる。
若きカート・ラッセルの哀愁漂うふてぶてしい演技もいい。
アイパッチの漫画っぽさも。
裏社会では誰もが知る有名人のスネークだけど、何かすごいスキルや武器を持ち合わせているわけではなく、アクションとしてこれといって見せ場があるわけでもないw
この完全無欠でない、行き当たりばったりな主人公にはどこか親しみを感じる。
スマートでなくても、反体制・反権力の信念は突き通してるからかな…。
カートが演じてるのも大きい。(似てるジェフ・ブリッジスも好き)
マカロニ・ウエスタンで知ったリー・ヴァン・クリーフは政府側としてずっと出てた。
やっぱりオーラがスゴイなぁ。
西部劇から近未来へタイムスリップした感じで、スーツ姿がなんだか新鮮。笑
悪の帝王デューク(アイザック・ヘイズ)に捉えられたアメリカ大統領(ドナルド・プレザンス)はその辺にいるおじさん化。
ブロンド&ロングの女性用ウィッグを被せられた姿には笑ってしまった。
デュークの愛車キャデラックのヘッドライトにはシャンデリアが施されてて、これも笑える。高価な物同士でも組み合わせると滑稽になるという皮肉?
ハズシの美学というか、洗練されたVFX大作にはない味わいにじわる。
世界の中枢スポット、NYを荒廃させた設定といいラストの(カセットテープの)展開といい、政治や社会に対する批判めいたメッセージも伝わってくる。
圧倒的スペクタクルなんてないのに、滲み出るB級感にズルズルと引き込まれて結構楽しめた。
飽きられる前に完結させるコンパクトな尺もカーペンター作品の魅力。