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殺人の追憶のadagietteのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
4.0
ポン・ジュノ作品の中でも人気の高い本作品。
実際に起こった未解決事件をベースにした戯曲の映画化 ということは知って観た。
知らなかったら どこに軸足を置いてみたらいいのか?
ぽっかーん...だったかも。
警察がほんまヒドくて 組織力も捜査力も全然なくて 刑事もまともに訓練されておらず それなのに権力をカサに着て 拷問で供述をとり一件落着のストーリーをでっち上げる。
特に前半はそちらに唖然とするばかり。

いったいコイツラなんなんだ?と思うんだが、そのケーサツの一番とんでもない暴力刑事は高卒、先輩格のソン・ガンホは短卒らしい。
ソウルから応援にきた刑事は四卒。
そこに どろっとしたひがみと嫉妬が垣間見える。
社会序列と抑圧のハケ口が 一般人への過酷な拷問か?
気持ち悪いのよ〜〜

モトの事件が起こったのは全斗煥政権期。
激しい民主化運動の前年らしい。
場所は華城というところ 映像では鉱山?が唯一の産業のようなド田舎のようだが地図で見れば首都ソウルまで車で1時間ほどに見える。
この近さがまた 田舎の劣等感みたいなものにつながるんだろうか?

事件も 連続婦女暴行殺人事件 歪んだ欲望もこれまた抑圧のハケ口だろうか? 真犯人と思しき人間の部屋に軍役時の写真があり、この軍隊と懲役制度というものも 韓国の方の特に男性にとってはなんとも理不尽な重荷になっていると聞く。

全編不条理なストーリーを通じて コレデモカ!というほど 抑圧と暴力をいうものを見せられた、そんな作品でした...........

製作年は2003年 盧武鉉政権期...
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