ラストシーンの画力！ソン・ガンホすごい！そして、あれをラストシーンに持ってくるボン・ジュノ監督半端じゃない。
何ですか、ラストの少女との意味深過ぎるやり取りは。一体観客をどこに連れて行こうというのですか！
重過ぎるテーマを扱う際の模範解答の一つとして機能する同じカットで時間軸を変えたり、人物を変えたりするリフレインなシーン、全体の流れを弛緩させるコメディテイストなシーン、映像としての美しさを描く、アー写ライクなキメキメな一枚絵、口笛や桃の欠けらなどといった犯人の異常さの演出など数々のピースが格式の高さを感じさせる。
実際の事件をテーマに、現実の時代背景や権力の暗部を映画で見せる事にかけて韓国はどうしてこんなにも上手で、しかも切羽詰まったものが作れるのだろうか。
この作品の場合は、警察が犯人に近づいていく追跡ゲームとそれを嘲笑うようにかわして行くクライムゲームの双方の要素を持った極上のサスペンスでありながらも、当時の警察の杜撰な脅迫まがいの違法捜査などを白日の元に晒す重さもきっちりと持たせ、因果応報も不条理も同じ温度感で描いてみせる。
あまりにも悲痛でやるせないものを観たのに、後味は良い映画を観たという手応えがはっきり残っている。
