KnightsofOdessa

すべてを五分でのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

すべてを五分で(1956年製作の映画)
4.5
18位[新年パーティを楽しく過ごせ!] 90点

ダサい邦題問題が色々と言われている中、是非とも原題の"Carnival Night"と呼びたいリャザーノフの単独初監督作品。同じくリャザーノフが「運命の皮肉、或いはいい湯を」(1975年)を製作するまでは毎年必ず新年に放映されたという1956年最大のヒット作。リャザーノフにとっても超可愛い主演女優リュドミーラ・グルチェンコにとっても最高のデビューとなったこと間違いなし。

新年を祝うパーティの準備に勤しむ文化会館の若手職員。皆に愛されている総括担当のレーナは大きな目をくるくると動かしながら愛くるしい笑顔で職員をまとめ上げていく。しかし、ここで大きな壁が立ちはだかる。館長オグルツォフが"ソ連市民的な"演出ではないとしてジャズ演奏やバレエ上演を禁止する。そして代わりにおおよそ退屈そうな計画を持ち出すのだ。極めてソ連映画的な展開。道化師による寸劇が馬鹿げた方向に向かうシーンは爆笑ものだし、若いオーケストラメンバーがそれぞれの楽器を鳴らして抗議するシーンは中々キマっている。

大晦日のパーティ当日になっても事あるごとに退屈な案を出し続けるオグルツォフ。反抗を決意した若手職員はあの手この手でパーティを楽しくする。ここでレーナの歌う『12時まであと5分』は名曲。工作虚しくオグルツォフの演説が始まるが、手品師の協力によってこれもいいパフォーマンスとなる。公演に来た学者は酒を飲まされまくって舞台で踊り狂う。この辺からハリウッドレビュー映画みたいな演出が続いて幸福感を煽る。72分という短尺も合わさって可愛らしい作品という印象。

レーナに惚れた電気技師グリーシャくんの活躍も見逃せない。そりゃあんな可愛かった惚れるのも分かるわ。個人的にラストのキスのあとで時計が12時を5分過ぎているのに泣いた。

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