回想シーンでご飯3杯いける

ラジオ・デイズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)
3.7
「少し昔を美化しそうですが、お許し下さい」という、ウディ・アレン本人によるナレーションで始まる、第二次世界大戦開戦直後のラジオ黄金時代を描いたノスタルジックな作品。その時代設定からも、ウディ自身の心の中にある子供時代の風景を元に描いているものと思われる。

冒頭では「美化しそうですが」と言っているものの、ここで描かれているラジオの世界は華やかで美しいばかりではない。その虚構性や、タレント達の不恰好な生き様、ラジオの前にかぶり付いて聞いている人達の忙しい毎日等、当時の人間臭いアメリカの姿を包み隠さず描いている。

他のウディ・アレン作品のようなサスペンス色は無く、毒気も抑えられているが、決して美しいだけではない、嫉妬や喧騒にまみれた生活。それらを含めて人生は素晴らしいと言う、彼らしいひねくれた(?)愛情表現に満ちた人間賛歌である。