ジャン黒糖

ロック・オブ・エイジズのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

ロック・オブ・エイジズ(2012年製作の映画)
2.8
トム映画連続感想、11本目!
こちらは初めて観ましたブロードウェイの同名人気ミュージカルの映画化!!
監督は『ヘアスプレー』などのアダム・シャンクマン!

【物語】
舞台は1987年のLA。
シンガーになる夢を抱いてオクラホマからやってきたシェリーは、憧れのライブハウス「バーボンルーム」で働く青年ドリューと出会い、そこで一緒に働かせてもらえるように。
ドリューもまた、ボーカルとしてバンドデビューする夢を持つも、なかなかチャンスを掴めないでいたが、シェリーと出会い、互いの夢を語り合うなかで惹かれ合い、付き合うことに。

ポップミュージック隆盛の時流もあり、2人が働くバーボンルームは、ロックを弾圧しようとする政党、団体からの抗議を受け、経営は危機的状況にあった。
オーナーのデニスは、カリスマ的ロックバンド、アーセナル出演による集客回復に期待するが、バンドのフロントマンにして、セックスシンボル的存在のステイシー・ジャックスは酒と女性におぼれた生活を送っていた…。

【感想】
なんだろう、ノリにくいな…。
ミュージカルはあまり観ないのでお作法を自分が理解していない可能性は多分にあるため、この展開がアリなのか、自分にはわからなかったけれど、各キャラに配された様々な設定に対し、着地が普通に投げやりじゃないか?
と観終わってすぐの率直な感想として思った。

シェリーのシンガーになる夢、は最後のあの展開で成就した、と見ていいのか…?
ドリューのバンドデビューの夢、もあれで実現できた…のか…?
デニスはバーボンルームを結局最後、お店を守ることができた…のか…?
パトリシア率いる、ロックへの一連の抗議活動はじめとする街の再活性化計画は結局どうなった…?
パトリシアの夫マイクが妻に隠れて致してた秘め事は…?
デニスとロニーの関係はちょい見せだけして深堀りはしない…?

これら前半から散りばめてきた様々な要素はフワァっと「まぁまぁ人生色々山あり谷ありで大変だけど、でも!やっぱロックって最高やん!!?」という雑な結末で、急に飛躍した展開で締められる。笑


だからなのか、ロックそのものを体現し続けてきたトム・クルーズ演じるステイシー・ジャックスだけは、少なくともロックに対して紆余曲折、山あり谷ありが少ない分、他のキャラよりはわかりやすく精神的に成長した感がある。

ステイシーはセクスィー部長(懐かしい笑)のような、歩くだけでフェロモン放ちまくる男で、ライブもかつてのヒット曲を歌い続けるだけだったけれど、ドリューとシェリーの歌を聞いて改心する。
これはわかりやすい。


一方、ドリューは中盤のポップスへの転向など、紆余曲折が凄くて最後急ハンドルでロックに戻ってきたようで、彼が思う理想の"ロック"ってこれで合ってたのか、気持ちが追い付かずわからなかった。
前半、彼は人前で歌うのは緊張する、といっていたけどそもそも映画自体がミュージカルなので、冒頭からバリバリ歌っていたのも、「いや、全然歌えてんじゃん!」と余計なノイズに感じてしまった笑

シェリーも同じく、夢はシンガー、というけれど、具体的にどんな歌手になりたいのか、が見えてこないので彼女もまたラスト、表面的には夢が叶ったように見えるけど、それで合ってるのかわからなかった。
中盤彼女は紆余曲折を経てストリップバーで働き始め、ドリューと再会したときには「バーボンを辞めて正解」と言っていたけど、いやいや彼女はドリューとの恋沙汰で辞めたんであって、別にバーボンに恨みなくね?!と気になってしまった笑
また、終盤の展開に向けてストリップバーの女店主?がシェリーに「ここに愛はない」と言うが、それもマジかよ、店主であるあんたがそれ言う?と気になり過ぎた笑


このように、ドリューもシェリーも、夢を抱くのは結構だけど、その夢の具体が漠然として見えてこず、中盤の2人に紆余曲折がありすぎてラストがハッピーエンドなのはわかるけど気持ちが追いつかなかった。
その分、ステイシーは彼の心の奥底に秘めた感情、不安が何か、前半のインタビューシーンを通じてちゃんと描かれるため、ラストの展開も納得がしやすい。
これはトムの演技達者ぶりもあるかもしれないけど、キャラとしての説得力が違い、やっぱ彼のシーンの方が観ていて面白かった。


また、舞台となるバーボンルーム自体も、同じくミュージカルの『レント』みたいな立ち退きの危機にある話だったけれど、本作の場合、結局立ち退きしなくて済んだのか、街の再活性化計画自体が頓挫したのか、全くわからないまま、ラストの「ロック最高!!」に話が飛躍するから「ちょっと待てよ」が凄い。笑

アレック・ボールドウィン演じるデニスは従業員にシンガーはお断り、と言ってこれは過去に何か恨みでもあったのだろう、と伏線回収を待ったが、これは全然わからなかった。笑
普通に序盤からシェリーは働くし、シンガー志望とわかっても別に働き方は変わらない。
何か、特別な過去があったとも思えない。
なんだったの笑


ということで、今回初めて観たけれど、個人的にはあまりハマる部分が多くなかった…
でも、ロック最高!これは否定しません!!
ジャン黒糖

ジャン黒糖