前方後円墳

ラブドガンの前方後円墳のレビュー・感想・評価

ラブドガン(2004年製作の映画)
4.0
痺れる。殺し屋のロマンをこれでもかというほど見せ付けられたのだ。
漫画チックな演出が多く用いられ、抽象的な夢やラストーシーンなど不思議な映像空間に放り込まれることになるのだが、物語は単純でわかりやすい。序盤は殺し屋、葉山田且士(永瀬正敏)と無理心中で生き残った少女、小諸観幸(宮崎あおい)の心のふれあいから始まり、葉山田を追う殺し屋、丸山定(岸部一徳)と種田太志(新井浩文)の師弟コンビが中盤から加わって物語が展開していく。見た目にはどう見てもギャグにしか思えない丸山と種田に感動的役割を担っているところに映画というジャンルの面白さを感じないではいられないのだ。
とにかくそれぞれのキャラクターが瑞々しく生きている。特に丸山定(岸部一徳)と種田太志(新井浩文)の師弟コンビは最高で、最終的に種田の成長物語になってしまっているぐらいだ。ただの怖いチンピラにしか見えない種田が体調の悪い丸山に肉食って体力つけろというシーンは小さな感動すら感じる。この葉山田と丸山と種田の殺し屋としてそれぞれが認め合うクライマックスは鳥肌が立つぐらいのかっこよさだ。愛の赤い弾丸が飛び、そこからは"愛"の洪水になる。最後に種田と観幸が出会うシーンは漫画そのものだが、真っ赤な銃が丸山且士という名前をつけられていることがわかった時点で彼ら4人が出会う感動、そしてラストシーンへの転換が心地よい。