八咫

こおろぎの八咫のレビュー・感想・評価

こおろぎ(2006年製作の映画)
3.6
私は好きな映画でした。
別に通ぶってるとかではなく、こういった余白を感じさせる映画や小説が好き。
なによりも鈴木京香の美しさ!彼女に惚れました…なんて素敵な女性なの。10年以上前の映画なのに変わらない美しさで素晴らしい。なにより彼女が飼っている、と評される山崎努もさすがだ。映像として盲目の彼が女に生活を握られておりともすれば哀れに見えるシーンすらあるが、新月の海のシーンでは役者の妙を見せつけられた。恐ろしいほどに良い男なのだ。
取り巻く安藤忠信や伊藤歩も良い味を出している。隠れキリシタンが副題のようだが、それが何を示唆しているのかは分からない。それでも過去に弾圧された宗教が根底にある田舎といったイメージはこの物語に寄り添っている。
最後の海から何かが引き上げられるシーンで住民が喜んでいるシーンでは、役者ってこういうものなんだなあという実感を得られた。普通であれば役者はそれと気付かせないようにそれまで生きてきた役の人生を汲み取り肉付けし演技に生かすがそこへの納得感は脚本において視聴者に示される。しかしこのシーンでは正直役者も視聴者も置いてけぼりだ。だが役者はそれまでの役どころの人生やその土地の言い伝えを既に知っているという演技をする。それに気付かせてくれた。
なんとなく好きだ。それがこの映画のすごいところ。個人的に鈴木京香のナイトガウン最高だったし、皆さんのおっしゃるようにチキンを貪るシーンはエロスでした。

脚本 3.7
美術 3
演技 4.3
演出 3.5
チープ感のなさ 3.7
満足度 3.6
その他(音楽、カメラワーク)
八咫

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