円柱野郎

続・激突!/カージャックの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

スピルバーグ監督の劇場デビュー作。
里子に取られた息子を取り返すため、前科者の男女がパトカーを奪って目的地へ向かう姿を描いたドラマ。

TV映画の「激突」とは関係のない内容なので、今となっては邦題で損をしている感はあるけれど、当時としてはどうだったのだろうか。
スピルバーグという名にまだネームバリューが無い時代なので、「あの『激突』の監督作!」と売り込むには良かったのかな?

それはそれとして、作品の展開は主人公の男女2人の状況説明や脱走~カージャックまでをテンポよく描き、あとはひたすらに車で移動という流れ。
車を奪って逃げるにしても、追跡するパトカーの車列との距離感や穏健な警部とのやり取りはどこか牧歌的で、悪く言えば緊張感はないが、逆に人質の警官よろしく観ているこちらもストックホルム症候群チックな感覚にさせるには良いユルさかな。
こんな事件にこのパトカーの数はやり過ぎだろうとは思うが、まあそこは映画的ケレンということでw
スピルバーグらしいジョーク演出(序盤の老夫婦とか)もちょくちょく入っているし、バックミラーと前車の同一フレーム、走行する車に寄っていくカメラ(逆もある)や、狙撃時の逆ズームの使い方も効果的。

主人公の女は向う見ずな行動派な上にたまにヒステリーチックな感じなので、正直イライラするところもある。
けど、「単純に若くてバカなだけなんだな…」と感じさせるかわいげもあったりして、演じるゴーロディ・ホーンの不思議な魅力が良い感じ。
その旦那(演:ウィリアム・アザートン)の方はそんなのに振り回されたあげくに射殺とか…、同情する。
牧歌的だった前半の逃走劇も、後半にはちょっとずつ彼らの破滅を感じさせるように空気が変わっていくけど、その辺が良い。
円柱野郎

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