結湖

リアル・スティールの結湖のレビュー・感想・評価

リアル・スティール(2011年製作の映画)
4.5
好きです(告白)
物語としては普遍的な親子ものではありますが、そこにSFスポ根が入るとこんなにも違って見えるものになるとは。
この映画でのロボットは、父親チャーリー(ヒュー・ジャックマン)の頑なな心の象徴であり、息子マックス(ダコタ・ゴヨ)には自分を守ってくれる(父親への)強さと憧れの象徴という、ダブルミーニングになっているのです。
しかも、ATOMはシャドウ機能という動きを真似る機能が備わっていて、それは二人の親子どちらの動きも真似て、二人の心を繋ぐ鏡のような役割になっています。
さらに、その無機質なロボットのATOMはスクラップ寸前で、二人と同じく人生のどん底にいるのです。
このATOMを通じてチャーリーは挫折から再生し、マックスは父親の強さを見るという物語です。
これが、ボクシングで再生する父親とその息子の話でも、普通に名作にもなるのかもしれません。
私がこの物語がものすごく好きなのは、古典的な父子ものでありながら、新しいエッセンスを加えて感動作を作っている点です。
それがまた、カッコいいロボットボクシングとかってありかよ……
チャーリーのろくでなしっぷりも、悪い人じゃないのになぁって思わせるヒュー・ジャックマンの人の良さがにじみ出ていてとてもいいし、マックスは人間関係にはドライなのにロボットに興奮するいまどきの子供っぽさがとても自然で、二人が心を通わせていく様子はとてもほほえましかったです。
ただのロボットものでは終わらない、とてもいい映画でした。
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