ぬーたん

ロープのぬーたんのレビュー・感想・評価

ロープ(1948年製作の映画)
3.6
『汚名』に続いてヒッチコック作品を。別にヒッチ祭りではないけどね。何故かと言うとこの『ロープ』の中で『汚名』についてのセリフがあったのを確認したくて。私のヒッチコックメモ(メモ魔なんで)によると
※『ケーリー・グラントとイングリッド・バーグマンが共演してた、あれは何だっけ?』にジェームズ・スチュアートが『出て来ない。舌の先まで出てるんだが…』という会話あり、とメモられてる。
で鑑賞したところ、はい、ありました!今作は『汚名』の2年後公開。記憶に新しい作品をユーモラスに皮肉ってるのが面白い。
今作はヒッチ初のカラー作品。カメラはワンカット風に繋ぎ合わせてる。時間も同時進行。ワンシチュエーションという様々な新しい実験を試みた画期的な作品でもある。
いきなりロープで首を絞めるというシーンからのスタートもドキッとする。犯人2人は友人だ。この友人のモデルは『レオポルドとローブ』だ。この映画の20年位前に実際に起こった誘拐殺人事件。犯人のレオポルドとローブは裕福なお坊ちゃんでしかも優秀だった。完全犯罪をやり遂げるという目的で殺人を実行する。この2人同性愛者で恋人同士だったと言われている。
この犯人役にジョン・ドール。1971年に50歳で亡くなった。
もう一人をファーリー・グレンジャー。彼は85歳まで生きた。バイセクシュアルとカミングアウトしている。
そして2人を怪しむ教授にジェームズ・スチュアート。昨日の本でも勿論見開き1ページの俳優だ。長身で真面目。賢くて正義感があり温厚。その役柄から『アメリカの良心』と呼ばれた彼は私生活も真面目そのもの。スキャンダルなど一度もなく、結婚は晩婚で添い遂げたし、実子に養子も居て、家族を大切にして来た。第二次大戦では軍に志願したし、その経験を生かすと思いきや戦争映画は出たくないと断った。その代わりに出演した『素晴らしき哉、人生』などのヒューマンドラマは本当に良かったなあ。そのジェースチュが似合わなそうなヒッチ作品だけど、これがどうして4本出るという相性の良さ。不思議だ。今作がそのスタートで『裏窓』『知りすぎていた男』『めまい』と続く。ヒッチのお気に入りになったのだ。これら真面目な役にぴったり。この3本はヒッチ作品の中でも傑作で私もお気に入りだ。
今でこそワンカット映画も多いが、73年前にこんなことしちゃうヒッチじいの凄さ!ただ、何故か日本公開はアメリカに遅れること13年、1962年公開だった。
ストーリー的にはやや退屈な会話が多く、また舞台劇のようなので変化がなく単調に感じる。犯人の一人がアタフタし始めるのが割と序盤からでずっとイライラする。
でも色々なアイディアやカメラの上手さには感心する。ロープは勿論、蝋燭、本、帽子などの小道具の使い方もシャレてる。
実際のローブは30歳で刑務所内で殺された。レオポルドは出所後にプエルトリコに移住し結婚もした。66歳まで生きた。
※『外国映画女優名鑑』1ページ使いの25人。アンジェリーナ・ジョリー、イングリッド・バーグマン、エリザベス・テイラー、オードリー・ヘプバーン、カトリーヌ・ドヌーブ、キャサリン・ヘプバーン、グレース・ケリー、グレダ・ガルボ、ジーン・アーサー、ジェーン・フォンダ、シャーリー・マクレーン、ジャンヌ・モロー、ジュリア・ロバーツ、ジョディ・フォスター、ソフィア・ローレン、デボラ・カー、ニコール・キッドマン、ビビアン・リー、ブリジット・バルドー、ベティ・デイビス、マリリン・モンロー、マリーネ・ディートリッヒ、メグ・ライアン、メリル・ストリープ、モーリン・オハラ。モーリンだけ顔と名前が一致しないや。
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