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デスプルーフ in グラインドハウスのfujisanのレビュー・感想・評価

3.6
いい意味で中身スカスカのタランティーノ映画

タランティーノ監督が撮った映画、9本のうち5本目にあたる作品で、唯一、今まで観ていなかった作品でした。

1992 レザボア・ドッグス
1994 パルプ・フィクション
1997 ジャッキー・ブラウン
2003 キル・ビル Vol.1 & Vol.2
2007 デス・プルーフ in グラインドハウス★
2009 イングロリアス・バスターズ
2012 ジャンゴ 繋がれざる者
2015 ヘイトフル・エイト
2019 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

個人的には、本作以降(イングロリアス・バスターズ以降)の、ある程度歴史的背景を知ってないと楽しめない長編よりも、「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」のような単純な話のほうが好きなので、本作はとても楽しめた作品になりました。

本作はあえてB級映画として作った作品で、画質もあえて粗く、傷だらけのフィルムを再現したような映像になっており、ストーリーも、デス・プルーフ(耐死仕様)の車に乗った殺人鬼(カート・ラッセル)が美女を追い回すっていう、ただそれだけの単純な話。

監督特有のムダ話もいつもよりも長く、また何の伏線にもなっていない本当のバカ話。脚フェチの監督が脚だけでオーディションしたかのようなホットパンツ美女達がたくさん登場するっていう、これもある意味、今だとポリコレ的にやり玉に挙げられそうな作品でもありました。

おそらく、内容がなんもない上にダラダラとムダ話が続く部分、ここが楽しいと思えるかどうかがキモなのでしょうが、個人的には、テンポの早い英語での掛け合いがラップミュージックのように心地よく感じて楽しめた作品でした(英語がわからないので意味を追うより音を感じる的な)

ストーリーが単純な分、ストーリーに含まれる過去の映画のオマージュよりも、裏方であるスタントマン(スタントダブル)に捧げる映画になっていたようで、カート・ラッセル役のカースタントを努めたレジェンドスタントマン、ジョー・フッカーや、「キル・ビル」でユマ・サーマンのボディダブルを担当したゾーイ・ベルがそのまま俳優としても出演していました。

昨年公開されたドキュメンタリー「クエンティン・タランティーノ 映画に愛された男」の中でもゾーイ・ベルのインタビューがありましたが、タランティーノ監督との相性が良さそうな、快活な明るい、そして身体能力抜群の女性で、彼女は本作で”タランティーノ組”入りを果たしていましたね。

脚本だけではありますが円盤も持っている「トゥルー・ロマンス」や「フロム・ダスク・ティル・ドーン」あたりも大好きで、本作を観て、あらためて、こういう作品が一番監督の良さが出てるんじゃないかなーと、思ってしまいました。面白かった!
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