こたつむり

マイライフ・アズ・ア・ドッグのこたつむりのレビュー・感想・評価

4.4
夏の空の下と、冬の雪の中。
宇宙船の犬と、海辺のお母さん。
スウェーデンに住む少年《イングマル》の居場所を描いた物語。

先に断言しましょう。
本作の魅力はメリンダ・キンナマン演じる《サガ》という少女。彼女に凝縮されているのです。言い過ぎかもしれませんが『レオン』の《マチルダ》に匹敵する美少女だと思いました。

そんな美少女に迫られる主人公。
うわ。何それ。子供の頃からリア充ですか。リア充ですね。

そして、その他にも《カエルちゃん》という女の子と“結婚ごっこ”をしたり、胸が大きい大人の女性にも優しくされたり…モテモテなのです。あー。やっぱり、リア充ですね。

しかも、主人公の目線で丁寧に描かれた物語なので、自然と自分の視線も低くなってしまい…このモテモテな感覚に胸が締め付けられるのです。正直なところ《サガ》が意を決した場面は…年甲斐もなく心拍数が上がりました。

ただ、当たり前の話ですが。
彼がモテてモテて困っちゃう(いわゆるMMK)だけの話ではありません。物語全体を貫くのは優しい視線。哀しみをふんわりと包む毛布のような感覚。さすがは『ギルバート・グレイプ』を仕上げたラッセ・ハルストレム監督。本作がきっかけでハリウッドに呼ばれたという話も納得できる仕上がり。

それに優しいだけの物語ではなく。
内に秘めた激しさを感じることが出来るのも見事。

例えば、主人公が大人に怒られるのも“悪ガキ”だからじゃないのです。ただ単純に“知的好奇心”が猛っているだけなのです。しかも、それを説明するために、彼に解らないものは観客にも見せない…という演出。この辺りのバランスが上手いと思いました。

まあ、そんなわけで。
冬の寒々しい景観や、村の牧歌的な雰囲気から、日常を淡々と描いた物語のように見えますが、実は少年の成長譚として大きく猛る物語。上手く入り込めば、童心に帰ることが出来ると思います。

そういえば、僕にもMMKの時代がありましたよ。

…就学する前の話ですけど。
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