もりりた

アフター・ウェディングのもりりたのレビュー・感想・評価

アフター・ウェディング(2006年製作の映画)
4.0
生々しい


インドで孤児院を営むヤコブ
彼にデンマークから寄付の話が
唐突な話に困惑しつつ話を聞きに向かう
依頼元の投資家のヨルゲン
ヤコブは彼にインドの状況を説明するが
聞く耳を持たない それどころか
週末に行う娘アンの結婚式への参加を促す
結婚式でヤコブは過去の恋人ヘレネと再会
彼女はヨルゲンの妻となっていた
ヘレネの動揺とアンの顔から浮かぶ推論
ヤコブは真相を聞き出そうと迫る


すごい状況

過去が人生を大きく変えていく
穏やかな雰囲気の一方でドラマの波はデカい

演出は控えめだが
各自が予想だにしない真実に直面し
揺れ動く感情そのものに惹きつけられる

背景が明らかになるにつれて
ヤコブが呼ばれた目的も見えてくる
衝撃的な事実 その企てはいびつだが
幸せを願う想いに暖かさを感じた


品が良い

全体的に落ち着いた雰囲気が漂う
シンプルで幻想的な音楽がハマってる

インドの熱気が伝わる街並みと
コペンハーゲンの自然溢れる風景
それぞれの存在感を強調する
絵画的な構図のカットが良い

頻繁にシーンが切り替わるが
ドラマに浸る余地は確保しており
置いていかれる事はない良いバランス

多用する表情のアップも
揺れる感情を伝える助けになっている


気持ちが伝わる

ヤコブの登場が引き金となり
閉じ込めてきた感情が湧き上がる
アナとヤコブの対面は穏やかな一方
激しく衝突するヨルゲンとヘレネ

心中穏やかではいられない
悶々とするような状況に各自向き合う
それぞれの人物に感情移入できる

特にヤコブがアナのアルバムを見て
感情が溢れ声を失うシーンや
「私のために結婚したの?」真相に迫る
アナに真摯に答えるヘレネの場面が良かった


迫る終わり

唯一無二の関係は代えが効かない
その点で真相と狙いは不器用さを感じる
「知っていたら他はどうでもいい」
迫るアナのセリフが本質を突いていた

一方で恐怖の中で滲む悔しさと対峙しつつ
幸せを願い続けた気持ちを察すると
そうせざるを得なかった必然性も感じた
寡黙な愛情が伝わってきた

ラストの感情を爆発させた弱々しい姿
無念さが突き刺さってくる様な
胸が痛くなるシーンだった


話が予想外で驚いたけど
色々な立場で感情移入ができる
多くの人が楽しめる作品です
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