柏エシディシ

シンプルメンの柏エシディシのレビュー・感想・評価

シンプルメン(1992年製作の映画)
5.0
ハル・ハートリー「ロングアイランドトリロジー」3本目。大好き。

強盗稼業の兄と生真面目な大学生院の弟がテロリスト容疑の父親を追って旅するロードムービー風味ストーリー。あくまで風味。例によって監督の地元ニューヨーク郊外から出ないご近所感。
何処にでもありそうな何処でもない場所。
そんな場所の、少し寂しそうで少しおかしな、愛しい人びとの物語。

果たして何処に向かっていくのかわからないまま、ふたりの道行きに付き合い、唐突に挟まられる事件や失神やらジョークに驚かされたり笑ったりしている内に、この世界が愛おしくなっていく。
冗談とも本気とも取れない粋な科白の数々にニヤリとしながらも、時々真実を突きつけられた様な気もしてドキリともする。

冒頭と円環になっている終幕の科白も見事。ああいう構図のラストカットってあまり無いような気がする。静かな終わり方だけれど、思わず目頭が熱くなる。

そして、兎にも角にも、ソニックユース"Kool Thing"に合わせたダンスシーン!
もちろん、この映画はコレが無くても素晴らしいものだっただろうけれど、このシーンによって、映画史に永遠に残る事になったと言っても言い過ぎじゃないと思う。
この映画を観て、エリナ・レーヴェンソンに惚れない男なんていないんじゃないかな!?w
柏エシディシ

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