PANDADA

小説吉田学校のPANDADAのレビュー・感想・評価

小説吉田学校(1983年製作の映画)
5.0
原作は戸川猪佐武の実録小説。

終戦後の昭和23年。東久邇宮内閣、幣原内閣、第一次吉田内閣、片山内閣、芦田内閣と短期政権が生まれては消えていく中、次期総理として民自党総裁吉田茂の復辟が内定していたが、GHQから横槍が入る。それを巧みに交わした吉田茂は自分の腹心の手足として官僚を取り込み政治家に転身させることを試みる、、、から始まるお話し。

原作は未読なのですが、原作をさいとうたかをが劇画化した「大宰相」がかなり面白くて、何度も読み直したりしてます。

本作も面白いですね。原作のほんの序盤である第二次吉田内閣の成立から退陣までを申し分なく描いています。

ストーリーは原作・史実に即していて、いわゆる「大河ドラマ」です。

森繁久彌をはじめとするキャストは超豪華で、しかもかなり本物に似せてます。
特に森繁久彌は凄いです。
スラスラと英語を喋り、
葉巻を燻らせながら傲然と構えるその姿は、本当に吉田茂にしか観えない。
いや、実物を見たことはありませんけど。。

若山富三郎演じる三木武吉だけあんまり似ていませんが(笑)、貫禄と迫力のある名演で「策士三木武吉」を見事に描写しています。

終戦後の日本の現代史を扱った小説や文芸作品は多いですが、映画はほとんどない中、これは傑作だと思います。

話も冗長な部分がなく、テンポよく進みながらも、大事な部分は取りこぼさず、綺麗に尺に収めています。

100%政治史なので、興味のない方には退屈かもですが、それでも大河ドラマ風映画として一級品。
このクオリティでの続編観たいなぁ。

そう思わせるほどの傑作歴史映画。
PANDADA

PANDADA