Dick

アメリカばんざい 〜crazy as usual〜のDickのレビュー・感想・評価

4.8
★2008/05/16名古屋シネマテークで鑑賞。

●日本人がこのような問題作を撮りあげたことを誇りに思う。監督に敬意を表したい。
●平和のシンガーソングラーター、ベッツィ・ローズのフォーク系主題歌「For the Mothers」もテーマにぴったり。
●帰還兵で、今はホームレス支援団体職員が言う:
「大部分の兵士は平和を願っている。それを阻んでいるのは少数の幹部で、彼等の真の目的は金儲けがすべてだ。」

▲当日監督舞台挨拶あり(15分):
①「ブートキャンプ (Boot Camp)(新兵訓練所)」の生々しい映像があったが、如何にして米軍の許可が得られたのか、大いなる疑問だった。
監督からは次の裏話が披露された:
「前に『Marines Go Home(05)』を撮っているので、まともに申請したら国防総省の許可は得られない。
そこでマスコミと提携することにして、最初NHKに提案したが断られた。次にTBS(筑紫哲也の「NEWS23」)に持ちかけ合意され、TBSと共同で申請した結果承認されたので30日もの詳しい取材が出来た。しかし、その後TBSの担当スタッフが全員異動になり、今はこのような取材は不可能になった」
②アメリカは非常な格差社会で、貧乏で救いのない人達がいないと軍隊は作れない。若者の80%が自身の大学の奨学金や家族の医療保険が目的で入隊している。大学の学費はUCLA等の州立大学でも年間2万ドル、コロンビアやハーバード等は年間5万ドルもする。
③「戦争の入口」に当たるパリス・アイランドのブートキャンプには毎週500人から700人の若者が入隊し、12週間立派な兵士に養成される。ここだけで毎年約2万人が海兵隊員になる。彼等は次に沖縄等で実際に戦争をするための実践トレーニングを3カ月間ぐらいやってから、早い子では6カ月後にもうイラクやアフガニスタンに派遣される。1年前は高校生だった子が、もう戦場に立っている。
④「戦争の出口」とは兵士たちの帰国後の現実。戦場へ送り出された若者たちの多くは身心ともに傷ついて帰還する。帰還兵なのに、病院やケアの保障がきちんとされないので、多くがアルコール中毒やヤク中となって路上や森の中でホームレスとして生活している。アメリカの男性ホームレスの3人に1人が元兵士。
⑤本作は500人の市民の支援により作ることが出来た。300人が北海道、100人が名古屋。
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