まりぃくりすてぃ

クィーン・ケリーのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

クィーン・ケリー(1929年製作の映画)
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「撮影途中で事件が起こり、制作中止。未完🍊😭」っていう、わずかな前情報だけ持ってたから、序盤から私は「いったいどこでどんな酷いことが…。シュトロハイム監督は『グリード』でスタッフ死なせてるし、まさか……」と怯えながらだった😕😕😕。そしたら、火事のところで「この場面で修道女役エキストラの何人かが煙吸ったりして死んだんだ?!」とドギマギ!! でも、そのあと快活に話が進んでいったから、ホッ。。 次に、王子によって拉致られたヒロインのケリーの、背後のあかあかとした暖炉を見て「あの火が背中に燃え移ってケリー役主演女優が大火傷負ったんだ。ギャ〜😵😵😵」っとなった!! でも、何とか火傷も回避(したみたいで…)、、話はさらにチャーミングに前進していく。ついには女王に鞭打たれたケリーが高所から夜の川にドッボーンして「何て恐ろしい! 溺死したんだ!! 怖い! 怖い!🤢🤢🤢」―――それきり映画は、止まりぎみに。長すぎ電報文(中間字幕)と静止画像(スチール写真)だけで変則的にしか進まなくなる。動くケリーが出てこないってことは、やっぱり実際に死んだんだ!!! 彼女を追悼するためのドキュメンタリー映像を加えたってわけね? いえいえ、再びお話としてたぶん展開してる。それまでとほとんど脈絡なさげな人物ばかりが何人か新登場してて、叔母のところは引っ張りすぎるし、気持ち悪い悪魔的な雰囲気ばかりが連なってゆく。ケリーはちゃんと動くんだけど、ケリーの怯えすぎが怖い。妖怪性をデフォルメしすぎてる奇怪ジジイをはじめ、みんなアップショットばかりの顔面演技。明らかに、異常領域。前半の魅力がほぼすべて消失してて、まるで別映画なのだ。気づけば、王子役(と女王)が全然出てこなくもなってる。そっか、撮影中に水死したのは王子役男優のほうだったんだ!! クワバラ、クワバラ、クワバラ……。もうずっと、下手なホラー映画観てるよりも切ないぐらいに映画史上の現実の悲劇ばかりを推定しつづけすぎて縮こまってる私。。。 映画は映画で “未完🍊をいろいろいじくってる” 苦しいモード。邪魔な奇怪ジジイは字幕説明一つで処分された。そのまま、字幕だけで幕引いてしまいました。。。      で、後で調べてみたら、「撮影中の事件」というのは、「奇怪ジジイ役が(監督の指示で)ヨダレをケリー役主演女優の手に垂らして、主演女優が激怒した」だけだって!😳😳😳 あ〜ぁ、その程度の真相に私は二時間も引き回されてホラー気分を楽しんじゃったのか😝😝😝💦    てことで、しゃんとしてる監督が凝りに凝ってキチンと仕上げた前半は、見どころ多く、楽しくさえありました。モノクロサイレントだけど。白のきらめき。ボチャッとした黒。まるで光る半紙に書きつけてゆく “書道” のキブン♪ 王子とケリーの出会いに時間をやたらかけて、心情機微を描きまくる演出がサイレント平均をたぶん超えてて、テンポ感を犠牲にしてまで丁寧さを第一に。手品師みたいに本当に手数をかけて人物たちはタメまで作る。自ずと長尺に。最高にキレイな蠟燭の映り込みとか、白猫ちゃんも嬉しい女王のマイルドな映えとか、視覚の褒め点多い中、気安いばかりじゃなく少しは軽んじたくもなったのは、主演男女のイモさ。『ローマの休日』につながるモチーフなだけに、そのへんの特に王子役の単調な笑顔演技には、飽きもちょっと。。  監督が主演女優(兼プロデューサー)スワンソンに解雇されずに後半まで完成にこぎつけていれば、(演出面だけでなく)作劇の非凡さはもっともっと凄みになった??
[YouTubeで無料配信中。ただし、日本語字幕なし。問題のエンディングが付加されて1時間40分]