こたつむり

ファイナル・デッドサーキット 3Dのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.5
★ ヒント④ 悪夢は終わらないから悪夢

ぶっちゃけた話。
本シリーズの“お約束”に飽きていました。
重大な事故の場面から始まって…その事故から逃げた人たちが謎の死を遂げていく…そんな展開に食傷気味だったのです。

だから、胸の中にあったのは「ここまで来たらシリーズ最後まで観たい」という想いだけ。序盤の強引な展開も「これはお笑い番組なのか…?」と呟くほどに醒めていたのですが…。

気付けば。
「主人公たちを助けたいっ」
そんな気持ちになっていました。

そう。
本作はね。“いい奴”ばかりなのですよ。主人公が他人を助ける姿に打算を感じませんし、そんな主人公の特殊能力に蔑みの視線を投げる人も出てきません。“ある人物”が過去を悔やみ、切ない人生を送っている後ろ姿には胸が痛くなる始末。バリバリに感情移入しましたよ。

いやいやいやいや。これは反則でしょう。
やはり“イヤな奴”が死に至るからこその爽快感(←問題発言)。《甘ちゃん野郎》が被害に遭う光景は怖い…というよりも悲しいし、理不尽な世の中に怒りを抱きたくなるのです。

そして、そんな優しい彼らと反比例するように。彼らの“死”は悪趣味なほどにグロテスク。このギャップが脳味噌を右に左にぐわんぐわんと揺さぶり、嘔吐したくなるほどにイヤな気分にさせるのです。

ちなみに本作を仕上げたのは2作目『デッドコースター』のデヴィッド・R・エリス監督。なるほど。僕はジェームズ・ウォン監督(1作目、3作目)よりも、こちらの方が好みですね。粗い筆致ですが“味”があるのです。ホラー映画は口の中に“苦み”を広げてこそ…ですからね。

まあ、そんなわけで。
冷静に捉えれば前作を超えていない…のですが、個人的にはシリーズの中で一番好きな作品。悪趣味の極みだとは思いますが、もともと僕はゲスですから…。げひひひ。

To be continued… →→→ 
   『ファイナル・デッドブリッジ』
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