アーリー

ミステリー・トレインのアーリーのレビュー・感想・評価

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)
4.0
2022.10.25

ジム・ジャームッシュ初のカラー作。
エルヴィス・プレスリーが住んでいたメンフィスが舞台。

カラーにすると一気に現代っぽくなるというか、親近感が湧く。画面が華やかになるし、情報が増える。モノクロというのは一つの表現方法やけど、カラーの方がわかりやすくて好きかもしれへん。
群像劇やねんけど、エピソードがほとんど交わらない。だいたい群像劇なんてものは一つに収束していくのが気持ちよかったりするのに。その辺のはずしはやっぱりジム・ジャームッシュ。とある日にとあるホテルに泊まった人たちの前後2日ぐらいをみただけ。けどなんか面白かった。「far from yokohama」のカップルの雰囲気がかなり良い。見たことないけどトレンディドラマみたいな喋り方。永瀬正敏のジッポの付け方なんて一生観れる。対して役に立たんことを極めてる無愛想な奴。現実で見たら痛いやつって思うんかもしれんけど、こうやってみるとカッコいい。

ロックンロールを最近聴いてるのもあってか、会話の端々まで気持ち良いし、初めてぐらいにジム・ジャームッシュ作品に酔えた気がする。同じ日にメンフィスにいたいなと思えた。もしいるとなったら一人かな。それとも彼女ときたけど喧嘩して出ていかれて、「Baby Let's Play House」を一人で聴いて笑いとってるかも。

人物の歩く姿を横のアングルで追いながら撮るのめっちゃ出てくる。なんの意図があるんやろう。普通に好きなだけ?街中を歩くそいつを撮るのが目的かな。そんな何気ない瞬間を切り取る発想はジム・ジャームッシュらしさといえばらしいけど。

「Lost in Space」の結末がめっちゃ気になる。どこでおわってんねんてツッコミたくなる。明らかにコメディにしたらあかんやつやのになんか笑えてしまう。なんだかんだこの3人は良いトリオやねんな。前作の「ダウンバイロー」の3人と近いものを感じる。ジム・ジャームッシュってこういう後先考えないというか、なんとかなるやろ精神の集まりが好きなんかな。それとも彼自身がそうなんかも。売れ線の映画を撮らないっていうのも尖ってるし。映画監督になる人は全員そういう性分なんかもしれん。

なんか面白かった。この雰囲気に慣れてきたんかな。
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