アーリー

ウエスタンのアーリーのレビュー・感想・評価

ウエスタン(1968年製作の映画)
4.5
2023.12.21

いわゆる「ワンスアポンアタイム」三部作。
かつての良き時代に向けたラブレター。

レオーネらしさ全開のオープニング。ダラダラと長く続く沈黙の時間がこんなにも苦じゃないのはこの人だけ。沈黙が破られるのは唐突で、そして一瞬。その残酷さと儚さが美しい。

初めて女性がしっかり出てきた作品じゃないかな。男に翻弄されつつも自分の意思を見せる彼女はこの時代にあって稀有な存在に見える。そもそもニューオリンズから西部の田舎に来た時点で相当腹は括ってる。そして新しい家族の一員として認識してもらえる日に、その一家が皆殺しになり、未亡人に。もっと悲しんだり、凹んだりしてもいいのに。涙も見せず、これから来る困難を前に立ち向かってる。演じるのはクラウディア・カルディナーレ。名前カッコ良すぎる。
ハーモニカ2回目の登場シーンほんまにかっこいい。ナイス演出。ヘンリー・フォンダとの決闘もいい。

無法者たちが野放しになっている危険なフロンティアは終わりが見えており、鉄道の開通がその象徴となっている。金で雇われる殺し屋、無法者、復讐のためだけに生きる男。彼らは古き時代の産物で、今作のラストで誰も列車の到着を見届けない。良い時代やったかと言われるとそうじゃないように思えるけど、男らしさ、男が惚れる男像みたいなものはあったんやろうな。
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