アーリー

続・夕陽のガンマン/地獄の決斗のアーリーのレビュー・感想・評価

4.5
2023.12.12

続とあるけど、前作とは関わりなし。ドル箱三部作の中では最後の作品にして、中身の時代的に最初の物語になる。

20万ドルが隠された墓地へと向かう「The good」「The ugly」「The bad」の三つ巴を描く。演じるのはそれぞれイーストウッド、イーライ・ウォラック、リー・ヴァン・クリーフ。前作ではイーストウッドを抑えて主役並みやったリー・ヴァン・クリーフも、今作ではイーライ・ウォラックに譲る形に。なんといっても彼のコメディチックな存在感。はちゃめちゃにクズ人間なんやけど、どこか憎めない。泡風呂のシーンとか最高やった。さらに貧乏で自分が生き延びるには「The ugly」になるしかなかったというような回想を挟まれるともう好きになっちゃう。もちろん横にいたら最悪やし、絡まれないように逃げるけど。絡まれてしまったら最後。なんだかんだ絆されて簡単に騙されるんやろな。

レオーネらしい演出のオンパレード。むさ苦しい男のドアップ。対照的に荒野一面を広く収めるカット。一言も喋らず睨み合いが続く展開。容赦のない暴力。早撃ち。決闘。モリコーネの音楽。冒頭10分間セリフないらしい。セリフのほとんどはイーライ・ウォラックらしいし。そんな映画他にあるんかな。
特にモリコーネの音楽が素晴らしい。「The Ecstasy Gold」は名曲。ラストの盛り上がりを演出する。映像を撮ってその後に音楽を付け加えるんじゃなく、音楽が先あって後に映像撮ったらしい。そういう作り方も面白いし、それだけレオーネがモリコーネの音楽を信頼してたってことかな。

南北戦争のエピソードがちょいちょい入る。ボロい橋を守るために死んでいく兵士。何のために守らなければならないのか。本当に死ぬ価値があるのか。戦争なんてそんなもの。人が死ぬのに理由なんていらないはずやのに、けど戦争になるとそういうのが必要になる。
あとは男の友情。友情というかちょうど良い距離感というか。馴れ合わない美学。言いたいことははっきり言うし、敢えて言わないのもまた美学。

長いけどダレることなくそれぞれのキャラが立つ良い作品。面白かった。
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