アーリー

ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語のアーリーのレビュー・感想・評価

4.0
2023.10.31

Netflixでの短編作品。ロアルド・ダールという小説家の作品の映画化。何とこの人「チャーリーとチョコレート工場」の原作者、かつ「007は二度死ぬ」の脚本も書いてるらしい。

語り語り語り。ずーっと誰かが喋っている。とある物語があり、それを教えてくれる人がいて、それを本にした人が内容をこちらに伝える。「グランドブダペストホテル」のような複雑な構成。しかも短編だからなのか複数のキャラを演じている人がほとんど。カンバーバッチ、ベン・キングズレー、「グリーンナイト」のデヴ・パテル、そして「グランド〜」以来のレイフ・ファインズ。その色んなキャラを演じていること自体が、ウェス特有のシュールな笑いにも繋がっている。すごくスピーディな作品でセリフはもちろん、セットの配置換えもすぐに行なってしまう。文字で時間の経過を書くのは簡単。現実世界の1秒間で、文字世界の時間経過は無限に進む。それを映像で表現するかのように一瞬で着替え、髭を生やしたりする。かと思えばいまから私はこの人の演技をしますというかのようにカメラの目の前でカツラを変え、つけ眉毛をつけたりする。これは作られた劇のようなものとこちらに提示している。この手法はウェスならでは。

奇術師のお話を読んだ男が、金儲けを求めて自分もまた奇術を使えるようになり、カジノでしっかり稼ぐも、虚しさが残るだけだったことに気づく。大事なのはお金を稼ぐことじゃない。お金で何をするのかということ。お金は大事やけどな。持ちすぎるといらんくなるとか経験してみたい。この児童文学のようなストーリーを映像化するのはウェス・アンダーソンのような特殊な個性を持つ監督じゃないと無理な気がする。お話がというよりウェスの演出とか構図、いわゆるウェスらしさを求めるようになってしまってる。

キャストが豪華やしウェスを堪能できる。セリフが早すぎて字幕が変わるのも早いから、追うのが大変。もっと映像を観たいのに。文字を追うだけでカットが変わってしまう。勿体無い。英語理解出来てから観た方が楽しめる作風になっちゃった。
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