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コーヒー&シガレッツのroofbalconyのレビュー・感想・評価

コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)
3.7
「パターソン」をきっかけに長年遠ざかっていたジャームッシュ映画を補習してみようということでまずは本作。モノクロ、オムニバス、ごく限られたカメラアングル、黒味つなぎ、、、初期型ジャームッシュだこれ。
それもそのはず、頭の3エピソードはそれぞれ1986年,89年,93年に撮られた短編らしい。ep1のベニーニが「ダウン・バイ・ロー」の頃、ep2のブシェミが「ミステリー・トレイン」の頃(舞台設定もメンフィス)であるから辻褄が合う。するとep3のイギー・ポップが「デッドマン」の頃なのか?と思ったがあちらは95年だった。
観ている間、やめて久しい煙草を無性に吸いたくなったが我慢してひたすらコーヒーをドリップ。

一番気に入ったエピソードは"NO PROBLEM" これだけ何度も見返してしまった。久しぶりに再会した友人二人、イザック・ド・バンコレとアレックス・デスカスのなんとも抽象的な押し問答。 テーブルメニュー?の上に置かれてる小物をデスカスが訝しげに観察する件があるがアレがなんなのか気になる。他にも、飲み終わっていないコーヒーカップの数が不自然に多かったり、ラストの極端なクロースショットで灰皿の吸殻の数が急に増える。煙草の吸殻で時間経過表現なんてベタなことをするとは思えないし、小津安イズムだろうか。「リミッツ・オブ・コントロール」はこの2人の共演との事で楽しみ。

一番笑ったのはDVD特典のep3撮影裏話で、トム・ウェイツがジャームッシュに言い放ったという「この台本のどこが面白いか言ってみろ!」。わかる。このうまく言語化できない可笑し味がジャームッシュだと思う。このエピソードは93年にカンヌの短編部門でパルムドールを受賞している。

最後の"CHAMPAGNE"もいい。
あの台詞、自分も最期、誰かに言いたい。
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