roofbalcony

ジョーカーのroofbalconyのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0
「バットマン」と地続きではないという先入観で観始めたら意外につながりが出てきたのでちょっと驚いたし、とはいえあの少年がやがてバットマンになる世界とは到底思えないのも込みでなるほど巧いなと。
それはさておき、1コミックキャラの外伝という枠を超え現実を侵食する強度があり悩まされる。エンタメを逐一現実に重ねていたら大概のアクション映画は不謹慎ということになってしまう。
アーサーの反撃にはカタルシスがある。
かと言って、社会から蔑まれ不遇な人生を送った人が果てに凶悪犯罪を犯した現実の事例に置き換えた場合、終盤のアーサーの言動に首肯できるか? いや、まさか。

しかし「タクシードライバー」のラストが主人公の破滅(と救済幻想?)かもしれないのに自分も含む多くの観客が快哉を叫んだ事例のように、物語には作者の想定を超えて人を鼓舞する力もある。
それは時に危険な力だ。危うさを理解しつつも乗せられる。

本作はジョーカーという既存キャラを盾に巧妙かつ確信犯的に支配階級への脅しをやって見せたようにも思える。
roofbalcony

roofbalcony