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ミスター・ノーバディのroofbalconyのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)
3.5
時空の制限無しに選択と行動を多元に繰り返せる男の話。
マルチエンディングのノベルゲームをやる人になら複数の分岐結果を一本に非線形編集したものという例えがたぶん解りやすい。大きな選択項目は離婚する父と母、嫁候補の女性3人。ルートを全て回収するまでやりこむゲーマーなら何ということはない。
冒頭から一見支離滅裂で、ずっとこの調子か?と不安になりそれは的中するのだが次第に構造が見えてきて、理解を助けるための工夫も一応されているし役者も美形ぞろいで意外に興味は持続する。しかし、中盤で本命女性が誰か判ってきて、それ以外のルートを失敗としか受け取れない展開にややトーンダウン。彼女らもまた選択のジレンマを抱えており各々の子供たちが気の毒になってくる。
実は再見すると序盤から最後まで本命はハッキリしていて失敗ルートでも本命とくっつくチャンスがわずかにあり、それ以外の枝を排除して1人のヒロインに辿り着く単なるアドベンチャーラブロマンスにも思えてくる(残念な理解力)。その視点からだとあれこれ要素を盛り付けすぎで既成映画のオマージュや劇中小説の映像化らしき宇宙旅行の件はノイジーに感じられて141分は長すぎる。ディレクターズ・カット版は更に16分も長いみたいだがあまり見たいとは思わない。
「どの道も正しい道だった。それらには同等の意味があった」
人生そう思いたいのは山々だが、、、
親たちは紛れもなく子供にとっての運命だ。
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