翼

ラスト サムライの翼のレビュー・感想・評価

ラスト サムライ(2003年製作の映画)
3.0
『硫黄島からの手紙』でアメリカ人監督が描く外から見た日本像が面白く、食わず嫌いしてたラストサムライを観てみる。なんか日本万歳!みたいな作品な気がして敬遠していたもので…。
結果、偏見は間違ってなかったけどここまで日本を美化しきるならそれはそれで面白いのかもと思えた。やり過ぎなくらいutsukushiki japan movieだった。

samurai...
bushido...
wabisabi...

NHKスペシャル「トムクルーズの美しき日本文化探訪」みたいな前半は退屈。もっさいトム様が執拗に美しい日本の美を堪能しまくる画が一時間余り続くのはなかなかしんどい。NHKを愛する老人たちは楽しいかもしれないが。
しかし演者の佇まいと理想郷のような日本の農村像の美しさにはとにかく惚れ惚れとする画力があるので、やはりNHKを垂れ流す感じで集中するでもなくのんびり観てればよかったのかも。
なんでこんな言いようのない恥ずかしい気持ちになるんだろう。身内が身の丈に合わず賞賛されて「そんないいもんじゃないっすよ!」と照れ隠ししながら謙遜する感じともまた違う、いろんな汚い側面を全部無視してとにかくメリットだけ取り上げて賛辞する滑稽さというのかな。そんなこと言ってたら数多の映画の存在否定みたいになっちゃうけど、ここまで臆面なくやりきる映画は珍しいんじゃないかな。JAL国際線とかでずっと流してても違和感無さそう。

10歳くらいの飛源を演ずる池松壮亮、これで頭角を現したのね。納得の演技力。渡辺謙に次いでグッと引き寄せる力を放つ。
翼