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マッハ!のTSのレビュー・感想・評価

マッハ!(2003年製作の映画)
3.9
【怒涛のアクションラッシュ】82点
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監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
製作国:タイ
ジャンル:アクション
収録時間:108分
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 タイの本格的アクション映画。宣伝文句にスタントなし、ワイヤーなし、早回しなし!とあるため、本当か?と半信半疑で見てしまったのですが、もう最初から最後までひたすら格闘技なので、シンプルに面白かったです。あらすじは書くまでもなく、とある村で崇められている仏像の頭が、何者かに盗まれたため村一の手練れの少年ティンはそれを取り戻すだけというもの。それ以上でも以下でもありません。ティンは最強の格闘技とされるムエタイの修得者であり、常人離れした運動神経で悪に立ち向かっていきます。実際ティンを演じるトニー・ジャーはタイのジャッキー・チェンと言えるほど、とてつもない体術を備えているため、説得力が増します。その結果、見ていてわくわくする、爽快なアクション映画に仕上がっています。

 もっとも、スタント、ワイヤーなしというのは主人公のティンのアクションに限定されるらしいのですが、それでも確かに本当か?と疑いたくなるようなほど凄まじいアクションです。完全に演出であるツッコミ所満載のシーン(例えば逃げてる時にわざわざ狭い穴を通り抜けたり)も、ここまで凄いと逆に感心してしまいます。駄作ならばそんなことする必要あるか?と思えてしまいますが、今作の出来栄えなら許されてしまいます。また、最初から最後までずっと同じBGMというのはだいたいマイナスの要素になり得るのですが、今作ではプラスに働いています。あの単純なビート音は、このアクションシーンに絶妙にマッチしており、まさに酒とつまみのような関係になっています。そう言えばひたすらヘンテコなアクションシーンが続く『悪魔の毒毒モンスター 東京へ行く』でもこういう単純なビート音が流れていたので、やはり相性が良いのかもしれません。

 そしてハイライトはトゥクトゥクのカーチェイスシーンでしょう。これはもう爆笑させられました。さすがにこれはワイヤーアクションであるようですが、絵柄や演出が途轍もないので最早爆笑の領域。そしてタイのキーとも言えるトゥクトゥクを全面に出してくるのも、タイらしくて良いと思います。これが普通のカーチェイスならば二番煎じだったでしょう。タイ産の映画で世界と勝負してやる、という野心もみえてきます。ムエタイにトゥクトゥクなど、タイらしい要素をふんだんに盛り込んだ渾身のアクション映画。アクション映画は、単純だけど面白い、がやはり一番良いのかもしれません。
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