Oto

スパイダーマンのOtoのレビュー・感想・評価

スパイダーマン(2002年製作の映画)
3.8
ヒーローものって「特殊な才能が呪いになる物語」で、スパイダーマンも呪術廻戦もエヴァも根底は同じかもしれないと気づいた。その中でも決定的に「報われないヒーロー」であるスパイダーマンはユニークで、だからこそ2やリメイクも成功しているというところがあると思う。

恵まれているが故に普通の幸せが得られない、あるいは、多くの人から憧れらているが故に誰にも理解されない孤独や誤解がある。有名な逆さキスのシーンはそれを象徴する一枚絵で、その白眉がクライマックスにあるのも素晴らしいよね。"With great power comes great responsibility"。

「優等生コンプレックス」のプロットを書いたことがあるけど、このジャンルと相性が良かったのかもしれない(あのときは群像劇を選んだことで分散してしまって失敗した...)。自分くらいの人間でもこのテーマに共感するところがあるし、普通の人間でありつつ決定的に選ばれてた人間であるというバランス感覚がいい。相手に優しくあろう・相手の秘密を守ろうとすることで自分が孤独を抱えたり傷ついたりするということはすごくあるし、裏方に徹して時間もプライベートも犠牲にして取り組んでいるのに世の中からは悪いところばかり指摘されるという自分の業界にも近いものがある。

MJがその時に一番パワーを持つ人を選ぶ「出会う男すべて狂わせるガール」なのは趣深いけれど、悪役の頭が悪いのは『エイリアン』と同様ノイズになってしまった。何故マスクを剥がさない、何故わざわざ遠回りをする、何故自滅をする...とあまりにもツッコミどころが多い。

「プロレスの賞金稼ぎ」とか「カメラマン」とかありえる大喜利をしてくるのはさすが。どこまでが原作通りなのか知りたい。スパイダーマンが人気になるシーン今だったらYouTubeやTwitter画面になるんだろうなと時代を感じるのと、サントリー響の広告にも時代を感じた。2002年にこの映像は凄まじいなー…ところどころ合成甘いけれど、映像化するのに時代が追いついたという感じがした。

①クラスのマドンナに憧れる地味な少年が蜘蛛に噛まれて超能力を得る
②自らの慢心が原因で父代わりの伯父を亡くしたことで責任感が芽生えて人命救助に奔走。一方で軍事企業の社長が薬の副作用で別人格を覚醒させて暴走しマドンナを傷つけようとするが救うことに成功する。
③敵の息子と同級生である少年は、彼女とその息子の交際に傷心するだけでなく、会話によって存在がバれてしまい、大切な彼女や伯母にも危害が加えられる。
④死闘になんとか勝利するが、安全のために自らの存在を身内に明かすことはできず、さらには悪役を殺めたという誤解も抱えながらヒーローとして生きることを決める。

こうみるとMJとのラブストーリーがむしろメインプロットというか、一番大きな葛藤が彼女によって生まれているところがあるなー。
サブプロットは悪役のストーリーだろうか、その二つが交差する。スパイダーマンにおけるヴィランはいつも主人公の鏡像であり教訓。
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