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虹を掴む男のほーりーのレビュー・感想・評価

虹を掴む男(1947年製作の映画)
3.5
【ポケタ、ポケタ、ポケタ……】

『虹を掴む男』っていいタイトルだなぁ。この映画が日本で公開されたのが1950年。やはりこういう夢のあるタイトルが渇望されていた時代だったんだと思う。

ジェームズ・サーバーの短編小説『ウォルター・ミティの秘密の生活』が原作の本作。

近年、リメイクとして『LIFE!』がベン・スティラー主演で作られたが、こちらはまだ観ていない。観た知人曰く、かなり感動する内容だったそうな。

一方、オリジナルの本作は、ダニー・ケイ扮する出版社の編集係の主人公がことある事に妄想の世界に入るのだが、ある日、本当の大事件に遭遇し、悪党から命を狙われるというストーリー。

僕自身も小さい頃から(いまだに)ふと妄想の世界に入るガキだったので、この主人公の心境、ひじょーに共感してしまう。

さてそのダニー・ケイの相手役で謎の美女役にヴァージニア・メイヨ。『我等の生涯の最良の年』『白熱』のイメージが強いから本作のようなキャラはちょっと新鮮。

そして悪役の一人がボリス・カーロフだったりする。マッドサイエンティストの役柄がピッタリなのだが、できればこの人を親玉にした方が映えたように思う。

劇中、ダニー・ケイは船乗り、外科医、パイロット、ギャンブラー、ガンマンに次々となりきる。圧巻なのが空軍のパイロットが音楽学校の教授の物真似を披露(何故この場なのだ?)するシーン。

『5つの銅貨』でサッチモとセッションした『聖者の行進』も素晴らしかったけど、日本語で言えば口三味線というやつを早口で捲し立てる藝に圧倒された。

ただクライマックスも敵のアジトへ向かう途中でまたもや妄想の世界に入るのはどうなのか。何か尺の引き伸ばしのような感じも受けた。

ここでいつもの妄想の発作が起こるんだけど、それを打ち破ってヒロインを助けに行くんだったらいい感じの熱い展開なんだけどなぁ。

■映画 DATA==========================
監督:ノーマン・Z・マクロード
脚本:ケン・イングランド/エヴェレット・フリーマン/フィリップ・ラップ
製作:サミュエル・ゴールドウィン
音楽:シルビア・ファイン/デヴィッド・ラクシン
撮影:リー・ガームス
公開:1947年8月4日(米)/1950年10月30日(日)  
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