アメリカ映画には昔からあるジャンルがある。
それは閉鎖的なコミュニティの中に入り込んでしまった外部の人間が周囲から徹底的に痛めつけられるというもの。
古くはフリッツ・ラングの「激怒」や「日本人の勲章」など偏見によって暴徒と化す群衆の恐ろしさを描いた作品を観ると、改めてアメリカってメチャクチャな国だなと思う。
一連の映画の中で一際輝きを放ったのがこの「ランボー」第一作である。
もし虐めた相手がベトナム帰りのグリーンベレーの強者だったら?という設定が良かった。
何も理由がないのによそ者という理由だけで保安官たちに捕まり、挙げ句の果てには執拗な暴行を受けて、ついに怒りが頂点に達したランボー(シルヴェスター・スタローン)。
いや……怒りだけじゃないんだな、暴行によりベトナムでのトラウマが蘇ってしまい、恐怖心で町から逃亡するのだった。
山の中に逃げ込んだ彼を保安官たちは山狩りをするが、ベトナムで死線をくぐっただけあって逆に半殺しの目にあってしまう。
保安官たちを指揮するブライアン・デネヒーが実に憎々しく演じている。
本作の何がいいかって言うと、アクション映画でありつつ戦争後遺症の問題についてもちゃんと言及している点である。
それまで終始寡黙だったスタローンが突然感情を露にして泣き出してしまうあのラストだと思う。
それをなにも言わずに優しくランボーを抱きしめたときの元上官トラウトマン大佐ことリチャード・クレンナの表情がいつまでも記憶に残る作品でした。
■映画 DATA==========================
監督:テッド・コッチェフ
脚本:マイケル・コゾル/ウィリアム・サックハイム/シルヴェスター・スタローン
製作:バズ・フェイシャンズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
撮影:アンドリュー・ラズロ
公開:1982年10月22日(米)/1982年12 月18日(日)