シャトニーニ

ランボーのシャトニーニのレビュー・感想・評価

ランボー(1982年製作の映画)
4.0
男の教科書こと、シルベスター・スタローンの代表的アクションドラマ。

見てる人は多いので、もう語ることは無いと思いますが、未見の人には心からオススメするのがこの一作目です。

警官達にいわれなき罪で逮捕拘留された男、ジョン・ランボー。彼は脱走し、山の中へと消える。執拗な警官たちに追い詰められ、元特殊部隊出身からか、ランボーは孤独な戦いを強いられることとなる.....

警官からの拷問シーンにかつてベトナムで捕虜にされた時うけた拷問のフラッシュバックが重なる所とかPTSD(戦争後遺症)を見る者に追体験させる技法で、当時の映画にしては巧みに描いておりますね。サバイバルの場面では山が俺の縄張りといっても、色々と自然相手に苦闘するランボーが見られるのも人間くさくて好き。

驚くなかれ、ランボーはこの映画内では人を一人も殺していない。(犬はおそらく殺してる)ヘリから落ちたスナイパーは事故死だし。
そしてカッコよくも切ない名台詞の数々
「俺は国を愛していた!でも国は俺を愛しちゃくれなかった!」
「大佐!俺の戦争はまだ終わっちゃいない!」


原作通りの別エンディングもあったのだから、このラストはまだ救いがあったのかな、と、しんみりきました。リチャード・クレンナ演じるトラウトマン大佐やその他キャスティングも演技派揃い。

人殺しのマシンが生きられるのは戦場だけ。それを用意してくれた故国からも切り捨てられたなんて悲惨すぎる。元になった小野田さんの戦後三十年ジャングルで生きたエピソードを思い出します。ピュアな人ほど使命を与えられるとそれを命果てるまで実行してしまう。ランボーや警官と州兵、大佐さえも大義の駒に過ぎない。だから悲しいしカッコいい!

単なるアクション映画と誤解しては勿体無い、そう本作はランボーという戦争帰りの若者の身に訪れた、悲劇のほんの一端なのです。

エンディング、暗闇(右→)を向いていたが急遽左へ振り返る所、見事だと思いますね。孤独な戦士にさした光、微かな希望を感じさせる描写。製作者のやさしさを感じます、ただただ拍手を!