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花の生涯〜梅蘭芳(メイ ラン ファン)〜のOmizuのレビュー・感想・評価

3.6
【第59回ベルリン映画祭 コンペティション部門出品作】
『さらば、わが愛 覇王別姫』のチェン・カイコー監督が再び京劇をテーマに撮った作品。梅蘭芳は実在した伝説的な京劇役者。

『さらば、わが愛 覇王別姫』は中国映画で一番好きなのだが、それには及ばないものの美しい映像と確かな演出力で魅せてくれた。

もちろん主演のレオン・ライもいいんだけど、青年期を演じたユィ・シャオチュンも素晴らしい。またチャン・ツィイーも瑞々しい美しさでこれは恋に落ちるのも仕方ないなと感じた。

ただ、編集が雑だなと感じる部分が多い。特に序盤。また、『さらば、わが愛 覇王別姫』の美しいだけでなく、濃密な空気感というのが今作には感じられずあっさりしすぎているように感じた。

二時間半もの時間をかけておきながらシーンの切り替えがよく分からないというか雑な部分が多く、ダイジェストのように感じた面もある。

日本軍の役者もとてもよく、安藤政信は『ラストエンペラー』における坂本龍一のような端正な顔立ちで役に合っていた。

全体としてはやはり撮影や美術、京劇の衣装やメイクも素晴らしく、チェン・カイコーらしい美学のある作品ではある。ただ『さらば、わが愛』の圧倒的完成度の前には数段見劣りして見えるのは確かだと思う。
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