血生臭い映画のレビューが続いたので、趣向をガラリと変えまして、本日はドラえもん映画(笑)
初めて劇場で観たドラえもん映画が「ドラビアンナイト」だったので、初期の作品はそれこそVHSをレンタルして観ていたが、そんな作品の中でも特に好きだったのが「大魔境」「海底鬼岩城」「魔界大冒険」の3本。
で、今回は本当に久方ぶりに「海底鬼岩城」を観たけど、改めて内容の濃さに驚いた。
あまりにも情報量が多い映画なので、全体的に台詞が早口だったりカットの繋ぎが短かったりと、90分の尺におさめるためにかなり駆け足で進んでいるような印象を受けた。
何しろ前半は幽霊船や巨大イカが登場する海洋アドベンチャーだったのが、後半は一転して世界を滅ぼす自動報復システムを破壊するための決死行(ふと「ナバロンの要塞」を思い出した)が描かれる。
この2つの要素を1本のストーリーに盛り込むというのはかなり至難の技で、改めて藤子・F・不二雄先生というのは天才的なストーリーテラーだと感じた。
古代文明が作った自動報復システムが海底火山の活動を敵の攻撃と誤検知してミサイルシステムが作動するなんて、到底子ども映画でやる内容じゃないもんね。
そして極めつけがバギーちゃんである。
コンピュータなのに性格に問題ありの不思議な秘密道具“水中バギー”はドラえもんたちからポンコツ呼ばわりされるが、唯一そんな彼(?)のことを気にかけたのがしずかちゃんで、コンピュータのバギーに愛情が芽生える。
そして放った台詞が
「ボク、バギーデアルコトガカナシイ」
異形な者への愛の言葉としてシンプルだけどグサッとくる。そしてその愛はラストにああいう形で示されることになる。
……というのを子ども向き映画でやるのだからやはりドラえもん映画は侮れないのである。
ただバリア内の鬼岩城から鬼角弾撃っても外の世界はやられないんじゃないのと思うのだが……。